口腔ケアの評価指標とreal-time PCRによる舌苔中細菌数との関連

口腔ケアの評価に用いられることの多い臨床的指標と,舌苔湿重量ならびに舌苔中細菌数との関連を検討し,比較的簡便に得られる臨床的指標が口腔内の細菌量を反映しているかを検討した.調査対象は体系的な口腔ケアが行われているリハビリテーション病院に入院した者27名とし,入院時と入院2か月後の両時点で同一の口腔内指標を採得した.臨床的指標には口中VSC測定値,舌苔スコア,CPIを用い,舌苔中細菌数の測定にはreal-time PCRを用いた.その結果,入院時と入院2か月後の比較において,舌苔スコア,CPI, CH_3SH濃度および舌苔湿重量に有意な減少が認められ,H_2S濃度と舌苔中総細菌数には減少傾向が認...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 56; no. 5; pp. 665 - 672
Main Authors 晴山, 婦美子, 相澤, 文恵, 田村, 光平, 杉浦, 剛, 阿部, 晶子, 米満, 正美, 岸, 香代, 岸, 光男, 高橋, 雅洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 30.10.2006
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.56.5_665

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Summary:口腔ケアの評価に用いられることの多い臨床的指標と,舌苔湿重量ならびに舌苔中細菌数との関連を検討し,比較的簡便に得られる臨床的指標が口腔内の細菌量を反映しているかを検討した.調査対象は体系的な口腔ケアが行われているリハビリテーション病院に入院した者27名とし,入院時と入院2か月後の両時点で同一の口腔内指標を採得した.臨床的指標には口中VSC測定値,舌苔スコア,CPIを用い,舌苔中細菌数の測定にはreal-time PCRを用いた.その結果,入院時と入院2か月後の比較において,舌苔スコア,CPI, CH_3SH濃度および舌苔湿重量に有意な減少が認められ,H_2S濃度と舌苔中総細菌数には減少傾向が認められた.一方,舌苔1mg当たりの細菌数はほぼ同等の値となった.臨床的指標と舌苔中細菌数の関連において,入院時と入院2か月後のいずれにおいても,口中H_2S濃度と舌苔1mg中細菌数および舌苔中総細菌数の間に有意な関連を認めた.舌苔スコアとVSC測定値を独立変数,舌苔中総細菌数を目的変数とした重回帰分析では舌苔スコアとH_2S濃度が有意な変数として選択された.これらのことから,口腔ケアの臨床的指標として舌苔量を評価することに加えて口中気体のH_2S濃度を測定することで,舌苔中細菌数の変動をより詳細にとらえていると考えられ,それらを口腔ケアの指標とすることの妥当性が確認された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.56.5_665