超音波による3次元肝血管網の構造解析と体勢・呼吸に対する変形評価

我々はこれまで、肝臓を対象とし、3次元超音波ボリューム中のBモードとドプラモードの融合による血管構造の再構成や解析、複数のボリュームを用いた空間的な拡張などを画像処理の手法を用いて行ってきた。しかし、仰臥位や側臥位といった体勢、呼吸状態の変化による血管網構造の再現性や、定量的な変形については検証が不十分であった。そこで本研究では、同一の被験者で得られた血管網構造の再現性の検証と、体勢と呼吸状態の変化に伴う臓器全体および局所的な変形の定量評価を試みた。肝臓血管網の撮像には、3次元プローブを搭載した超音波診断装置(Philips EPIQ Elite)を用い、6名の被験者に対して様々な体勢や呼吸状...

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Published in生体医工学 Vol. Annual59; no. Proc; pp. 678 - 679
Main Authors 渡邉, 晃介, 岩崎, 弘益, 岡留, 寛斉, 桝田, 晃司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2021
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual59.678

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Summary:我々はこれまで、肝臓を対象とし、3次元超音波ボリューム中のBモードとドプラモードの融合による血管構造の再構成や解析、複数のボリュームを用いた空間的な拡張などを画像処理の手法を用いて行ってきた。しかし、仰臥位や側臥位といった体勢、呼吸状態の変化による血管網構造の再現性や、定量的な変形については検証が不十分であった。そこで本研究では、同一の被験者で得られた血管網構造の再現性の検証と、体勢と呼吸状態の変化に伴う臓器全体および局所的な変形の定量評価を試みた。肝臓血管網の撮像には、3次元プローブを搭載した超音波診断装置(Philips EPIQ Elite)を用い、6名の被験者に対して様々な体勢や呼吸状態にて超音波ボリュームの撮像を行い、門脈および肝静脈の2系統について、中幹から右葉を含む領域の血管網を再構成した。同一被験者で異なる状態の血管網構造から、共通分岐点間の空間レジストレーションを行い、共通分岐点間距離を導出した。その結果、同一の体勢・呼吸状態にて撮像した血管網同士の方が、異なる状態の血管網同士より、共通分岐点間距離が小さくなる傾向を確認した。また年齢による変化の有意差についても検証した。本研究により、3次元血管網の構造解析による臓器性状評価の可能性が示された。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual59.678