既存の骨軟骨腫から機械的刺激により弾性線維腫が発生したと考えられる1例

弾性線維腫は沖縄県の高令者の肩甲下部に好発する良性腫瘍であるが, 世界の報告例の半数以上が沖縄県であるという地理的特徴と機械的刺激を受け易い箇所にできるなどの特徴があり, 組織学的には弾性線維の反応性増生と考えられている. 一方, 骨軟骨腫は若年者に好発する良性骨腫瘍であるが, 成長期以降に急速に増大する場合は2次性軟骨肉腫の発生を考えなければならない. 症例は55才の主婦で, 左大腿骨頸部後方に存在した骨軟骨腫が4年の経過で著明に増大し, 股関節の有痛性可動域制限を来たした. 2次性軟骨肉腫の発生を疑い, 生検を行ったところ骨軟骨腫の周囲に厚い弾性線維腫を認め, 滑液を有する bursa を...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 37; no. 4; pp. 1778 - 1781
Main Authors 吉川, 朝昭, 仲間, 健, 井上, 治, 島袋, 博之, 乗松, 尋道, 茨木, 邦夫, 宮里, 剛行
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 西日本整形・災害外科学会 1989
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.37.1778

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Summary:弾性線維腫は沖縄県の高令者の肩甲下部に好発する良性腫瘍であるが, 世界の報告例の半数以上が沖縄県であるという地理的特徴と機械的刺激を受け易い箇所にできるなどの特徴があり, 組織学的には弾性線維の反応性増生と考えられている. 一方, 骨軟骨腫は若年者に好発する良性骨腫瘍であるが, 成長期以降に急速に増大する場合は2次性軟骨肉腫の発生を考えなければならない. 症例は55才の主婦で, 左大腿骨頸部後方に存在した骨軟骨腫が4年の経過で著明に増大し, 股関節の有痛性可動域制限を来たした. 2次性軟骨肉腫の発生を疑い, 生検を行ったところ骨軟骨腫の周囲に厚い弾性線維腫を認め, 滑液を有する bursa を形成していた. 今までこのような報告はないが, おそらく突出した骨軟骨腫が機械的刺激により弾性線維腫からなる bursa を形成し, その中で軟骨性遊離体を伴って成長したものと考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.37.1778