地域在住高齢者が新規要介護認定に至る要因の検討―4年間の追跡研究
目的:地域在住高齢者の要介護認定に関連する要因を,疾患,健康管理,移動能力,身体活動等の幅広い項目で縦断的に解析する.方法:2006年と2010年に,A県O市の65歳以上の全住民に,「高齢者生活実態調査」を行い,それぞれ62.1%,63.4%の回収率を得た.両年のいずれにも回答した4,956人のうち,2006年に介護保険について回答したのは4,503人であり,認定を受けた290人(要支援・要介護認定群)以外の4,213人(自立および未申請群)のうち,4年後にも介護保険について回答した3,952人を対象に,ベースラインの疾患,健康管理,移動能力,身体活動などと4年後の要介護認定との関連を男女別に...
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Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 51; no. 2; pp. 170 - 177 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年医学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 0300-9173 |
DOI | 10.3143/geriatrics.51.170 |
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Summary: | 目的:地域在住高齢者の要介護認定に関連する要因を,疾患,健康管理,移動能力,身体活動等の幅広い項目で縦断的に解析する.方法:2006年と2010年に,A県O市の65歳以上の全住民に,「高齢者生活実態調査」を行い,それぞれ62.1%,63.4%の回収率を得た.両年のいずれにも回答した4,956人のうち,2006年に介護保険について回答したのは4,503人であり,認定を受けた290人(要支援・要介護認定群)以外の4,213人(自立および未申請群)のうち,4年後にも介護保険について回答した3,952人を対象に,ベースラインの疾患,健康管理,移動能力,身体活動などと4年後の要介護認定との関連を男女別に解析した.結果:3,952人のうち,313人が要介護認定を受け(「要介護認定移行群」),その他の3,639人は「自立維持群」とした.疾患の有無と数では,両群のいずれにおいても有意な性差はなく,「要介護認定移行群」では,疾患2つ以上ありの割合が有意に高かった.要介護認定に対しては,男性では疾患1つ・2つ以上あり,目に支障あり,女性では疾患2つ以上あり,目・歯に支障あり,がリスク要因として有意であった.健康管理で男性では定期健診受診少ない,食欲ない,のみが有意であったが,女性ではBMI 25以上,体重の増減,睡眠困難あり,昼寝頻度多い,が有意で,男女間で有意な項目に違いが見られた.移動能力では,総合的移動能力に支障あり,歩行速度遅い,転倒歴あり,が男女とも要介護認定移行へのリスク要因であった.身体活動では,男性でModel 1(年齢調整)では,作業しない,が有意であったが,Model 2(年齢,疾患の有無調整)では有意でなかった.女性ではModel 1で運動頻度週3~4回,作業しない,が有意であり,Model 2では作業しないのみが有意であった.結論:要介護認定と有意に関連する要因は男女間で違いがあり,疾患や健康管理,移動能力および日常生活における身体活動は,4年後の要介護認定にも大きな影響があると考えられた. |
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ISSN: | 0300-9173 |
DOI: | 10.3143/geriatrics.51.170 |