深頸部膿瘍を反復した小児高 IgE 血症例

小児深頸部膿瘍は縦隔進展や気道閉塞などの重篤な経過を有する例はあまり多くなく,成人に比して経過および予後は良好だと言われている。しかし,基礎疾患として免疫不全症を合併しているような場合は感染を反復し,その診療に苦慮することも少なくない。今回われわれは 1 年の間に深頸部膿瘍を反復し,蚊アレルギーと著明な高 IgE 血症を合併していたことから何らかの免疫学的異常の関与が疑われた小児例を経験した。症例は13歳男児,左顎下間隙の膿瘍にて入院加療するも,保存的加療で改善せず切開排膿を行った。1 年後咽頭後間隙の膿瘍にて再び入院加療,同じく保存的加療で改善せず全身麻酔下での切開排膿を要した。両経過ともに...

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Published inPediatric Otorhinolaryngology Japan Vol. 36; no. 1; pp. 21 - 26
Main Authors 福屋, 吉史, 竹田, 貴策, 岸根, 有美, 長澤, 正之, 伊藤, 卓, 山本, 敦子, 川島, 慶之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児耳鼻咽喉科学会 2015
Japan Society for Pediatric Otorhinolaryngology
Subjects
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ISSN0919-5858
2186-5957
DOI10.11374/shonijibi.36.21

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Summary:小児深頸部膿瘍は縦隔進展や気道閉塞などの重篤な経過を有する例はあまり多くなく,成人に比して経過および予後は良好だと言われている。しかし,基礎疾患として免疫不全症を合併しているような場合は感染を反復し,その診療に苦慮することも少なくない。今回われわれは 1 年の間に深頸部膿瘍を反復し,蚊アレルギーと著明な高 IgE 血症を合併していたことから何らかの免疫学的異常の関与が疑われた小児例を経験した。症例は13歳男児,左顎下間隙の膿瘍にて入院加療するも,保存的加療で改善せず切開排膿を行った。1 年後咽頭後間隙の膿瘍にて再び入院加療,同じく保存的加療で改善せず全身麻酔下での切開排膿を要した。両経過ともに起因菌は黄色ブドウ球菌であった。経過中,血清 IgE 値は最大 60,450 IU/ml を示したが,高 IgE 症候群の診断基準には合致しなかった。今後も反復する可能性があるため,厳重な経過観察を要すると考えられた。
ISSN:0919-5858
2186-5957
DOI:10.11374/shonijibi.36.21