I型HSVを分離同定し得た新生児ヘルペス感染症病理解剖の4症例

ヘルペスウイルス(HSV)I型を分離同定し得た4症例の新生児剖検例を報告した. 1969年より17年間になされた新生児・乳児剖検総数約450例中HSV感染症と思われた症例は6例ある. これらは生後7~11日で病理解剖がなされ, すべて成熟児である. 全例の肝にHSVによる特有の壊死巣が認められ, その周辺部にはCowdry type Aの核内封入体を認めている. HSVI型を証明した症例2は肝の他にも広範囲の小壊死巣を認めた. 症例3, 4は肝の他には副腎にその特有な病変を認めた. 新生児HSV感染によつて7日前後に死亡するような症例は, その理由は明らかではないが高度のviremiaがその個...

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Published in医療 Vol. 41; no. 2; pp. 129 - 134
Main Authors 古田, 睦広, 伊藤, 剛, 小原, 安喜子, 北市, 正則, 金岡, 正樹, 祖開, 克彦, 牧, 和夫, 田中, 郁子, 横田, 博子, 吉村, 誠之, 徐, 志堅, 溝, 暁, 楠木, 秀和, 糸山, 光麿, 沢田, 茂夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1987
国立医療学会
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Summary:ヘルペスウイルス(HSV)I型を分離同定し得た4症例の新生児剖検例を報告した. 1969年より17年間になされた新生児・乳児剖検総数約450例中HSV感染症と思われた症例は6例ある. これらは生後7~11日で病理解剖がなされ, すべて成熟児である. 全例の肝にHSVによる特有の壊死巣が認められ, その周辺部にはCowdry type Aの核内封入体を認めている. HSVI型を証明した症例2は肝の他にも広範囲の小壊死巣を認めた. 症例3, 4は肝の他には副腎にその特有な病変を認めた. 新生児HSV感染によつて7日前後に死亡するような症例は, その理由は明らかではないが高度のviremiaがその個体に進捗するものと考えられる. 胸腺は一般にその侵され方が高度ではない. HSV感染が妊娠早期にひきおこされると, 奇形, 流死産などがひきおこされる場合がある. I型, II型による病理像の差はそれほど明瞭ではないものと考えられる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.41.129