中耳奇形を伴った中耳唾液腺分離腫の1例
症例は5歳6ヵ月の男児。 右側の伝音難聴と, 鼓膜前下象限に白色病変を認めた。 側頭骨 CT では耳小骨奇形も認めたため, 耳小骨奇形を合併した先天性真珠腫の疑いで, 鼓室形成術を施行した。 術中所見ではキヌタ骨長脚遠位端からアブミ骨上部構造の消失を認めた。 また, 顔面神経水平部の下垂を認め, その下方に黄色の腫瘤を認めた。 そのため顔面神経鞘腫を疑い, 腫瘤生検と術中迅速病理を施行した上で腫瘤を摘出した。 卵円窓は顔面神経走行異常のため確認できなかったため, 伝音再建は行わずに手術を終了した。 病理組織検査の結果は漿液腺・粘液腺の混合腺からなる唾液腺組織であり中耳唾液腺分離腫と確定診断に至...
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Published in | JIBI INKOKA TEMBO Vol. 59; no. 2; pp. 80 - 84 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
耳鼻咽喉科展望会
2016
Society of Oto-rhino-laryngology Tokyo |
Subjects | |
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ISSN | 0386-9687 1883-6429 |
DOI | 10.11453/orltokyo.59.2_80 |
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Summary: | 症例は5歳6ヵ月の男児。 右側の伝音難聴と, 鼓膜前下象限に白色病変を認めた。 側頭骨 CT では耳小骨奇形も認めたため, 耳小骨奇形を合併した先天性真珠腫の疑いで, 鼓室形成術を施行した。 術中所見ではキヌタ骨長脚遠位端からアブミ骨上部構造の消失を認めた。 また, 顔面神経水平部の下垂を認め, その下方に黄色の腫瘤を認めた。 そのため顔面神経鞘腫を疑い, 腫瘤生検と術中迅速病理を施行した上で腫瘤を摘出した。 卵円窓は顔面神経走行異常のため確認できなかったため, 伝音再建は行わずに手術を終了した。 病理組織検査の結果は漿液腺・粘液腺の混合腺からなる唾液腺組織であり中耳唾液腺分離腫と確定診断に至った。 術後1年の時点で再発を認めず経過良好である。 |
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ISSN: | 0386-9687 1883-6429 |
DOI: | 10.11453/orltokyo.59.2_80 |