非線形確率金利モデルを用いた債券ポートフォリオ最適化

機関投資家の資産運用は未だ債券が中心であるにも関わらず,株式投資に比べると債券投資に関する研究は少なく,分析対象となる投資戦略も限定的である.本稿では,時系列モデルと確率金利モデルにもとづく4種類の債券リターン予測モデルと,リスク抑制型とリターン追求型の8種類の最適化モデルを組み合わせて多様な運用戦略を構築し,それらのパフォーマンスを比較,考察する.本邦利付国債から推定した割引債を投資対象としてバックテストを実施した.その結果,テールリスクへの耐性のある非線形確率金利モデルによる運用戦略が,相場環境に依存せず相対的に良好なパフォーマンスを示した.実務への応用を見据え,イールドカーブの典型的な局...

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Published in現代ファイナンス Vol. 41; pp. 27 - 55
Main Authors 島井, 祥行, 牧本, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ファイナンス学会 MPTフォーラム 31.10.2019
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ISSN2433-4464
DOI10.24487/gendaifinance.410002

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Summary:機関投資家の資産運用は未だ債券が中心であるにも関わらず,株式投資に比べると債券投資に関する研究は少なく,分析対象となる投資戦略も限定的である.本稿では,時系列モデルと確率金利モデルにもとづく4種類の債券リターン予測モデルと,リスク抑制型とリターン追求型の8種類の最適化モデルを組み合わせて多様な運用戦略を構築し,それらのパフォーマンスを比較,考察する.本邦利付国債から推定した割引債を投資対象としてバックテストを実施した.その結果,テールリスクへの耐性のある非線形確率金利モデルによる運用戦略が,相場環境に依存せず相対的に良好なパフォーマンスを示した.実務への応用を見据え,イールドカーブの典型的な局面ごとに各戦略のパフォーマンスを比較し,その結果を運用戦略マップとして整理した.また他資産と低相関である本稿の戦略を組み入れることで,ポートフォリオ全体のリスク・リターンを改善する可能性についても考察する.
ISSN:2433-4464
DOI:10.24487/gendaifinance.410002