オプション価格情報を利用した資産価格変動要因の分解―米国株式市場における実証分析

資産価格変動要因の特定はファイナンスにおける重要なトピックの一つである.その中でも日次など短期の変動要因を特定することは,経済イベントと紐づけて議論するために特に重要である.しかし,短期の変動要因の分析に適した方法は少なく,関連した研究はこれまでなされていない.本研究では,オプション価格情報を利用した変動要因の分解方法を提案し,米国株式指数の日次リターンの変動要因を分析する.具体的にはRecovery Theoremを用いてオプション価格から推定した実分布とSDFをもとに,リターンをキャッシュフロー要因と割引率要因に分解する.オプション価格は情報を迅速に織り込むため,短期の変動要因の分析に適す...

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Published in現代ファイナンス Vol. 43; pp. 27 - 48
Main Authors 霧生, 拓也, 枇々木, 規雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ファイナンス学会 MPTフォーラム 17.04.2021
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ISSN2433-4464
DOI10.24487/gendaifinance.430001

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Summary:資産価格変動要因の特定はファイナンスにおける重要なトピックの一つである.その中でも日次など短期の変動要因を特定することは,経済イベントと紐づけて議論するために特に重要である.しかし,短期の変動要因の分析に適した方法は少なく,関連した研究はこれまでなされていない.本研究では,オプション価格情報を利用した変動要因の分解方法を提案し,米国株式指数の日次リターンの変動要因を分析する.具体的にはRecovery Theoremを用いてオプション価格から推定した実分布とSDFをもとに,リターンをキャッシュフロー要因と割引率要因に分解する.オプション価格は情報を迅速に織り込むため,短期の変動要因の分析に適すると考えられる.実証分析の結果から,キャッシュフロー要因が短期の価格変動の主要因であることが明らかになった.ただし,FOMCアナウンスメント日には割引率要因の影響がそれ以外の日と比べて大きくなることもわかった.
ISSN:2433-4464
DOI:10.24487/gendaifinance.430001