副腎悪性褐色細胞腫の外科的治療と周術期管理

褐色細胞腫は治癒可能な内分泌性高血圧と位置づけられる一方,悪性腫瘍のリスクが極めて高い。約10%を占める悪性褐色細胞腫は早期診断法および確立された治療法のない希少難治性がんである。腫瘍の残存,転移には化学療法,核医学治療などを組み合わせて多角的な治療が行われるが,確実に有効な治療法はない。手術可能な症例は比較的良好な予後が期待できるため,可能な限り外科的に腫瘍を摘出し,手術不可能となった段階で集学的治療を行う。以前は2.9~3.9%の手術関連死があったとされるが,局在診断の進歩,薬物療法,麻酔管理の発達とともにその安全性は急速に上昇した。これにはα遮断薬の使用による血圧と循環血液量のコントロー...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 240 - 246
Main Authors 今本, 敬, 市川, 智彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.4_240

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Summary:褐色細胞腫は治癒可能な内分泌性高血圧と位置づけられる一方,悪性腫瘍のリスクが極めて高い。約10%を占める悪性褐色細胞腫は早期診断法および確立された治療法のない希少難治性がんである。腫瘍の残存,転移には化学療法,核医学治療などを組み合わせて多角的な治療が行われるが,確実に有効な治療法はない。手術可能な症例は比較的良好な予後が期待できるため,可能な限り外科的に腫瘍を摘出し,手術不可能となった段階で集学的治療を行う。以前は2.9~3.9%の手術関連死があったとされるが,局在診断の進歩,薬物療法,麻酔管理の発達とともにその安全性は急速に上昇した。これにはα遮断薬の使用による血圧と循環血液量のコントロールが大きく寄与したとされる。カテコラミンの生理学的作用を理解し,術前・術後管理に精通すれば大きな合併症を招くことは少ないと考えられる。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.4_240