浅大腿静脈を用いたin-situ血行再建の経験─破裂性腹部大動脈瘤術後の人工血管感染症例および感染性腹部大動脈瘤症例に対して

【背景】大動脈-腸骨動脈領域の感染性動脈瘤および人工血管感染症例に対して,従来は腋窩-大腿動脈バイパスといった非解剖学的血行再建が主であったが,その長期にわたる開存度が低いことや,大動脈の断端の破綻といった問題があり,近年では解剖学的な血行再建が普及してきている.そのグラフトの材料としては自家静脈もしくはePTFEまたはリファンピシン浸漬の人工血管がおもに使用されている.【症例】当施設ではこれまでに浅大腿静脈を用いた解剖学的血行再建を 2 例に対して施行した.1 例は感染性動脈瘤症例で,もう 1 例は人工血管感染症例であった.【結果】剥離に伴う手術時間延長,術後の十二指腸穿孔合併による再手術な...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 18; no. 7; pp. 667 - 671
Main Authors 宮内, 正之, 佐藤, 俊充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2009
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18.667

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Summary:【背景】大動脈-腸骨動脈領域の感染性動脈瘤および人工血管感染症例に対して,従来は腋窩-大腿動脈バイパスといった非解剖学的血行再建が主であったが,その長期にわたる開存度が低いことや,大動脈の断端の破綻といった問題があり,近年では解剖学的な血行再建が普及してきている.そのグラフトの材料としては自家静脈もしくはePTFEまたはリファンピシン浸漬の人工血管がおもに使用されている.【症例】当施設ではこれまでに浅大腿静脈を用いた解剖学的血行再建を 2 例に対して施行した.1 例は感染性動脈瘤症例で,もう 1 例は人工血管感染症例であった.【結果】剥離に伴う手術時間延長,術後の十二指腸穿孔合併による再手術などで術後管理にやや難渋したが,その後の経過は2 例ともにおおむね良好であった.【結論】人工血管感染や感染性動脈瘤に対する,静脈グラフトを用いたin-situの血行再建は今後さらに発展する可能性がある.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18.667