解凍血小板の機能と室温保存にともなう変化

血小板輸注の臨床上の有効性が確立して以来, 同一人から一度に多数の血小板を採取する血小板フェレーシス法が近年増々盛んになってきている1). 一方血小板の液状保存期間は短いことから, フェレーシス血小板に凍害保護剤(dimethyl-sulfoxide(Me_2 SO), glycerolなど)を加えて冷凍保存し, 必要時に解凍し, 治療の一助とする試みが国内外でなされている2)~13). しかし報告されている冷凍保存方法を比較すると, 凍害保護剤の濃度, 凍結方法等に違いがみられる. 私達はこの点に注目し, Me_2 SOを用いた血小板の冷凍保存方法を各調製段階ごとに検討した14). その結果...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 31; no. 6; pp. 549 - 555
Main Authors 日比, 里美, 石川, 裕子, 森澤, 清美, 清水, 哲夫, 福田, 常男, 後藤, 鉦二, 関戸, 幸子, 長谷川, 岩三, 鶴見, 広美, 森島, 泰雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1985
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.31.549

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Summary:血小板輸注の臨床上の有効性が確立して以来, 同一人から一度に多数の血小板を採取する血小板フェレーシス法が近年増々盛んになってきている1). 一方血小板の液状保存期間は短いことから, フェレーシス血小板に凍害保護剤(dimethyl-sulfoxide(Me_2 SO), glycerolなど)を加えて冷凍保存し, 必要時に解凍し, 治療の一助とする試みが国内外でなされている2)~13). しかし報告されている冷凍保存方法を比較すると, 凍害保護剤の濃度, 凍結方法等に違いがみられる. 私達はこの点に注目し, Me_2 SOを用いた血小板の冷凍保存方法を各調製段階ごとに検討した14). その結果から, Me_2 SOの濃度は5%以上が適当であること, 凍結時の血小板濃度は1μl当り300万個と高くすべきであること, プログラムフリーザーを使用して凍結すべきであることなどを明らかにした14). この論文では, 上述の調製方法を基本としたマニュアルに基づいてフェレーシス血小板をMe_2 SOで冷凍保存し, 解凍後の血小板機能変化, 細胞成分の変動をグリセロール法の結果と比較した. 次に解凍した血小板に自己血漿を加えて室温で数時間振盪保存し, 保存中の血小板の変化を観察し, 解凍血小板の有効期限について考察した.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.31.549