時間運動学を基盤とした運動による抗肥満効果の解明 −メラトニンの役割に着目して

運動は,肥満を改善し生活習慣病を予防する.松果体ホルモンであるメラトニンは強力な抗酸化能を有し,抗肥満効果が期待されている.本研究では,運動効果の最大化を目指し,運動による抗肥満効果に及ぼすメラトニンの影響を検討した.実験にはWistar雄性ラットを使用し,トレッドミルを用いた9週間の運動トレーニング実験と回転輪付きケージを用いた11日間の自発運動実験を実施した.介入終了後,採取した血液および鼠蹊部脂肪組織から血清および成熟脂肪細胞を調整し,アディポカインの網羅的解析および脂肪細胞の機能およびベージュ化に関連する項目を評価した.その結果,運動とメラトニンの併用は体重および脂肪組織重量を顕著に減...

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Published inデサントスポーツ科学 Vol. 43; pp. 21 - 33
Main Authors 大澤, 晴太, 加藤, 久詞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団 20.06.2022
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ISSN0285-5739
2758-4429
DOI10.57488/descente.43.0_21

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Summary:運動は,肥満を改善し生活習慣病を予防する.松果体ホルモンであるメラトニンは強力な抗酸化能を有し,抗肥満効果が期待されている.本研究では,運動効果の最大化を目指し,運動による抗肥満効果に及ぼすメラトニンの影響を検討した.実験にはWistar雄性ラットを使用し,トレッドミルを用いた9週間の運動トレーニング実験と回転輪付きケージを用いた11日間の自発運動実験を実施した.介入終了後,採取した血液および鼠蹊部脂肪組織から血清および成熟脂肪細胞を調整し,アディポカインの網羅的解析および脂肪細胞の機能およびベージュ化に関連する項目を評価した.その結果,運動とメラトニンの併用は体重および脂肪組織重量を顕著に減少させ,さらに炎症性のアディポカイン分泌を減少させた.また血中の抗酸化能を亢進させ,ベージュ脂肪細胞のマーカータンパク質の発現量も増加させた.これらの結果は,メラトニンが運動による抗肥満効果を増強する可能性を示唆している.
ISSN:0285-5739
2758-4429
DOI:10.57488/descente.43.0_21