慢性硬膜下血腫における臨床症状と局所脳血流量

慢性硬膜下血腫(以下CSH)における神経症状の原因として, 大量の血腫による大脳皮質の圧迫7, 12), 加齢に伴う脳の反応性の変化7), 脳動脈硬化に伴う脳血流の低下16), そして血腫下脳実質の浮腫1, 3)などが挙げられる. 特に運動性片麻痺をきたすものは中高齢者に多くみられ, 血腫除去により著明に回復することが多い. 本研究では血腫除去により神経症状の回復を呈した一側性CSH例につき, 術前および術後の局所脳血流量(以下r-CBF)測定を行い, それらの成績を基にCSHにおける神経症状の発現機序を検討した. 対象および方法 1.対象 対象は, 外科的治療により臨床症状の改善した一側性C...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 26; no. 10; pp. 792 - 800
Main Authors 池田清延, 伊藤治英, 山嶋哲盛, 斉藤研一, 山本信二郎, 石黒修三, 松田博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 01.01.1986
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ISSN0470-8105
DOI10.2176/nmc.26.792

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Summary:慢性硬膜下血腫(以下CSH)における神経症状の原因として, 大量の血腫による大脳皮質の圧迫7, 12), 加齢に伴う脳の反応性の変化7), 脳動脈硬化に伴う脳血流の低下16), そして血腫下脳実質の浮腫1, 3)などが挙げられる. 特に運動性片麻痺をきたすものは中高齢者に多くみられ, 血腫除去により著明に回復することが多い. 本研究では血腫除去により神経症状の回復を呈した一側性CSH例につき, 術前および術後の局所脳血流量(以下r-CBF)測定を行い, それらの成績を基にCSHにおける神経症状の発現機序を検討した. 対象および方法 1.対象 対象は, 外科的治療により臨床症状の改善した一側性CSHの成人例, 男性19例, 女性2例の計21例である. 年齢は40~83才(平均66.0才), 67%の症例が60才以上であった. 頭部外傷の既往の明らかなものは16例(76%)であった. これらの患者にはCSHの発症以前に神経症状の存在したものは含まれていない.
ISSN:0470-8105
DOI:10.2176/nmc.26.792