介護老人保健施設における運動器看護に関する実践と医療機関との連携の実態

介護老人保健施設(以下,老健)は病状が安定している状況で,日常生活の援助とともに在宅生活に復帰できるよう,リハビリテーションを重点的に行う施設である.しかしながら,老健の看護職員を対象に運動器看護についての調査は十分に行われていない.本研究は,老健における運動器看護に関する実践と医療機関との連携の実態を明らかにすることを目的に行った.全国の老健を都道府県別に層化抽出(比例配分法)し,老健で働く看護職員を対象に郵送によるアンケート調査を行った結果,260施設より有効回答が得られた.脳血管疾患や神経変性疾患による運動機能障害がある入所者や股関節,膝関節,脊椎の手術を受けた入所者などへの看護行為にお...

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Published in日本運動器看護学会誌 Vol. 20; pp. 55 - 66
Main Authors 太田, 寛子, 小林, 優子, 髙橋, みゆき
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動器看護学会 28.02.2025
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ISSN2186-635X
2435-001X
DOI10.34324/jsmn.20.0_55

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Summary:介護老人保健施設(以下,老健)は病状が安定している状況で,日常生活の援助とともに在宅生活に復帰できるよう,リハビリテーションを重点的に行う施設である.しかしながら,老健の看護職員を対象に運動器看護についての調査は十分に行われていない.本研究は,老健における運動器看護に関する実践と医療機関との連携の実態を明らかにすることを目的に行った.全国の老健を都道府県別に層化抽出(比例配分法)し,老健で働く看護職員を対象に郵送によるアンケート調査を行った結果,260施設より有効回答が得られた.脳血管疾患や神経変性疾患による運動機能障害がある入所者や股関節,膝関節,脊椎の手術を受けた入所者などへの看護行為において難しいと回答した看護行為は,車椅子への移乗,補助器具(杖・歩行器など)を用いた移動の介助,排泄介助(排泄動作介助を含む),関節可動域の維持・拡大であった.転院元医療機関からの情報については,7割以上の看護職員が不足を感じており,「心理的特徴に関する情報」「日常生活援助の情報」「家族関係に関する情報」が上位を占めたが,必ずしも不足情報を確認してはいなかった.回答者の9割近くが運動器看護に関する学習の必要性を感じていた.医療機関から介護施設への情報提供の見直しが示唆されるとともに,老健の看護職員を対象にした運動器看護に関する学習のニーズが高いことが明らかになった.
ISSN:2186-635X
2435-001X
DOI:10.34324/jsmn.20.0_55