輸血とHIV検査
日本の血液センターでは現在PA法によりHIV抗体スクリーニング検査が行われているが, 1995年に47例, 1996年には46例と過去最高のHIV抗体陽性者が見出されその対策が苦慮されていた1). 日本においては, 1986年にHIV抗体スクリーニング検査開始以来, 輸血後のHIV感染は見られなかったが, ウィンドウ期の献血者によるHIV感染例が1996年に1例あった事が1997年5月の厚生省エイズサーベイランス委員会に報告され関係者に衝撃を与えた. タイ, カンボジア等の東南アジアの国々においては, 主として異性間感染により, サブタイプEのHIV感染が爆発的な広がりを見せており, 献血者に...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 3; pp. 342 - 345 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
1998
日本輸血学会 |
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ISSN | 0546-1448 1883-8383 |
DOI | 10.3925/jjtc1958.44.342 |
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Summary: | 日本の血液センターでは現在PA法によりHIV抗体スクリーニング検査が行われているが, 1995年に47例, 1996年には46例と過去最高のHIV抗体陽性者が見出されその対策が苦慮されていた1). 日本においては, 1986年にHIV抗体スクリーニング検査開始以来, 輸血後のHIV感染は見られなかったが, ウィンドウ期の献血者によるHIV感染例が1996年に1例あった事が1997年5月の厚生省エイズサーベイランス委員会に報告され関係者に衝撃を与えた. タイ, カンボジア等の東南アジアの国々においては, 主として異性間感染により, サブタイプEのHIV感染が爆発的な広がりを見せており, 献血者におけるHIV抗体陽性者がカンボジアでは6%, タイでも0.6%と極めて高い値に達している. これは日本の献血者のHIV抗体陽性率に比べ1,000倍以上であり, ウィンドウ期の献血者による輸血後HIV感染が大きな問題となっている. ここ数年, 日本においてもやはり異性間感染を中心にサブタイプEが確実に広がりつつあることが明らかになりその対策が急がれている. 今回は, このようなHIV感染とHIV検査の現状を東南アジア, 米国との比較を交え概観し, さらにHIV輸血後感染を防止するための今後の課題について考えてみたい. |
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ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.44.342 |