上腸間膜動脈瘤に対し大伏在静脈グラフトで血行再建術を行った 1 例

症例は腹部拍動性腫瘤を主訴とする75歳の女性で30年前に胃切除術の既往を有する.腹部CT検査で上腸間膜動脈本幹に直径40 × 47mmの動脈瘤を認め,回腸,結腸枝は動脈瘤から分枝していた.腹部血管造影検査で上腸間膜動脈分枝に対する腹腔動脈および下腸間膜動脈からの側副血行が不良のため,動脈瘤切除術および大伏在静脈によるグラフト置換術を施行した.動脈瘤の病理組織学的検査では嚢胞状中膜壊死を認めた.本症例は胃切除術の既往があり,術前に腹腔動脈,上腸間膜動脈,下腸間膜動脈の選択的血管造影を行い,動脈瘤と腸管への血流,各動脈間の側副血行の評価を行った.待機的手術である本症例において術式の選択に血管造影検...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 17; no. 1; pp. 41 - 44
Main Authors 西谷, 泰, 戸島, 雅宏, 小沼, 武司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2008
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.17.41

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Summary:症例は腹部拍動性腫瘤を主訴とする75歳の女性で30年前に胃切除術の既往を有する.腹部CT検査で上腸間膜動脈本幹に直径40 × 47mmの動脈瘤を認め,回腸,結腸枝は動脈瘤から分枝していた.腹部血管造影検査で上腸間膜動脈分枝に対する腹腔動脈および下腸間膜動脈からの側副血行が不良のため,動脈瘤切除術および大伏在静脈によるグラフト置換術を施行した.動脈瘤の病理組織学的検査では嚢胞状中膜壊死を認めた.本症例は胃切除術の既往があり,術前に腹腔動脈,上腸間膜動脈,下腸間膜動脈の選択的血管造影を行い,動脈瘤と腸管への血流,各動脈間の側副血行の評価を行った.待機的手術である本症例において術式の選択に血管造影検査は有用であった.本症に対する静脈グラフトを用いた再建術の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.17.41