医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへ行われている支援と必要としている支援

目的 本研究では,医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへ行われている支援と必要としている支援について明らかにすることを目的とする。方法 対象は,がん患者会団体からがんピアサポーター活動中の研究参加候補者の紹介を受け,研究参加への同意が得られたがんピアサポーター10人である。質的記述的研究方法により,インタビューガイドを用いたインタビューを2014年7月から10月に実施した。逐語録よりコードを抽出し,サブカテゴリー化,カテゴリー化した。得られた結果を研究参加者に確認し内容の確実性を高めた。本研究は目白大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。結果 研究参加者は40歳代から70歳代の男性2...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 65; no. 6; pp. 277 - 287
Main Authors 安齋, ひとみ, 林, 美奈子, 糸井, 志津乃, 刀根, 洋子, 風間, 眞理, 奈良, 雅之, 鈴木, 祐子, 吉田, 由美, 川田, 智惠子, 堤, 千鶴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2018
Subjects
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.65.6_277

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Summary:目的 本研究では,医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへ行われている支援と必要としている支援について明らかにすることを目的とする。方法 対象は,がん患者会団体からがんピアサポーター活動中の研究参加候補者の紹介を受け,研究参加への同意が得られたがんピアサポーター10人である。質的記述的研究方法により,インタビューガイドを用いたインタビューを2014年7月から10月に実施した。逐語録よりコードを抽出し,サブカテゴリー化,カテゴリー化した。得られた結果を研究参加者に確認し内容の確実性を高めた。本研究は目白大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。結果 研究参加者は40歳代から70歳代の男性2人,女性8人の計10人であり,医療機関でがん患者や家族の個別相談,電話相談,がんサロン活動を行っているがんピアサポーターであった。医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへ行われている支援として,4つのカテゴリー【がんピアサポーター同士での学び合いと支え合い】【利用者から得る学びと元気】【がんピアサポーターの自己研鑚】【病院と行政からの協力】が生成された。がんピアサポーターが必要としている支援として,7つのカテゴリー【がんピアサポーター同士の学びと支えの環境】【がんピアサポートに関する学習】【確かで最新の情報】【社会のがんに関する理解と協力】【活動や患者会団体に対する経済的支援】【がんピアサポート活動のしくみの改善】【がんピアサポ—ター養成講座の質保証】が生成された。結論 がんピアサポーターへ行われている支援として,がんピアサポーター同士が相互に支援し合い,利用者から学びと元気を獲得し,自己研鑽し,周囲からの協力を得ていた。必要な支援として,がんピアサポーター同士がさらに向上していくための学びの場と支える環境,活動を支える確かで最新の情報を求めていた。また,相談等の場面で対処困難な場合もあり,病院など周囲からの助言や情緒的な支援を必要としていた。社会のがんに関する理解と協力,活動や患者団体に対する経済的支援,病院におけるがんピアサポーター配置の制度化やがんピアサポーター養成講座の質保証など多面的な支援が望まれていた。医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへの支援はまだ十分ではなく,上述のような,さらなる支援の必要性が明らかになった。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.65.6_277