両側反回神経麻痺をきたした乳癌びまん性甲状腺転移の1症例

悪性腫瘍の甲状腺転移は稀ではあるが時折経験する病態である。症例は61歳女性,乳癌術後再発にて抗HER2療法を含めた化学療法を施行中,びまん性甲状腺腫に伴う気道狭窄が急激に悪化し当院を紹介受診。顕著な甲状腺機能低下症を呈しており,橋本病の増悪と診断した。レボチロキシン投与で内科的治療を試みるも,短期での症状軽快は得られず,経過中,両側反回神経麻痺が判明したため,気道確保を目的に緊急で気管皮膚瘻造設術を行った。その際の組織診で橋本病に合併した乳癌甲状腺転移と診断された。乳癌甲状腺転移は症例報告は散見されるものの多くは甲状腺癌との鑑別を要する結節性病変として描出され,両側反回神経麻痺を併発し,気道緊...

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Published in日本内分泌外科学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 46 - 51
Main Authors 高畠, 大典, 大石, 一行, 福山, 充俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内分泌外科学会 2023
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Summary:悪性腫瘍の甲状腺転移は稀ではあるが時折経験する病態である。症例は61歳女性,乳癌術後再発にて抗HER2療法を含めた化学療法を施行中,びまん性甲状腺腫に伴う気道狭窄が急激に悪化し当院を紹介受診。顕著な甲状腺機能低下症を呈しており,橋本病の増悪と診断した。レボチロキシン投与で内科的治療を試みるも,短期での症状軽快は得られず,経過中,両側反回神経麻痺が判明したため,気道確保を目的に緊急で気管皮膚瘻造設術を行った。その際の組織診で橋本病に合併した乳癌甲状腺転移と診断された。乳癌甲状腺転移は症例報告は散見されるものの多くは甲状腺癌との鑑別を要する結節性病変として描出され,両側反回神経麻痺を併発し,気道緊急症状を呈した例は稀であり,文献的考察を加えて報告する。
ISSN:2434-6535
2758-8785
DOI:10.11226/ojjaes.40.1_46