第4期特定健康診査・特定保健指導のアウトカム評価における行動変容について

2024年から開始された第4期特定健康診査(特定健診)および特定保健指導においては,腹囲および体重の減少に加えて,行動変容を含むアウトカム評価が新たに導入されることとなった.特定保健指導は,将来的な生活習慣病の発症予防を目的とし,医療費の抑制効果が期待されている.そのため,第4期特定健診および特定保健指導の見直しにおける議論では,アウトカム評価の導入に対して概ね前向きな意見が多かった一方で,保険者が特定保健指導の成果を求められる責務が,制度に影響を及ぼす可能性が示唆された. 今回の見直しにより,アウトカム評価は行動変容と組み合わせて段階的に評価されることとなったが,保険者が義務として行動変容を...

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Published in保健医療科学 Vol. 73; no. 4; pp. 265 - 272
Main Author 川中, 淑恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立保健医療科学院 31.10.2024
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ISSN1347-6459
2432-0722
DOI10.20683/jniph.73.4_265

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Summary:2024年から開始された第4期特定健康診査(特定健診)および特定保健指導においては,腹囲および体重の減少に加えて,行動変容を含むアウトカム評価が新たに導入されることとなった.特定保健指導は,将来的な生活習慣病の発症予防を目的とし,医療費の抑制効果が期待されている.そのため,第4期特定健診および特定保健指導の見直しにおける議論では,アウトカム評価の導入に対して概ね前向きな意見が多かった一方で,保険者が特定保健指導の成果を求められる責務が,制度に影響を及ぼす可能性が示唆された. 今回の見直しにより,アウトカム評価は行動変容と組み合わせて段階的に評価されることとなったが,保険者が義務として行動変容を客観的に捉えることの難しさや,特定保健指導の目的との齟齬が懸念された.しかしながら,腹囲および体重の減少に加えて行動変容を評価することが,対象者にとってセルフケアに繋がるとの見解が概ね支持された. 行動変容を特定保健指導のアウトカムとして評価することについては賛否が分かれたが,今後,データの蓄積を通じて第4期の計画期間中に更なる検討を進めることが求められている.また,特定保健指導においては,対象者の行動変容に係る情報の「見える化」を推進し,保険者がアウトカムの達成状況を把握し,達成要因の検討を行うことで,対象者に対して質の高い保健指導を還元する仕組みの構築が重要である.今回の見直しを契機に,保険者の創意工夫と実績の積み重ねにより,特定健診および特定保健指導の発展に寄与することが期待される.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.73.4_265