がん患者の静脈栄養

がん患者に対する栄養療法を行うにあたっては、通常の栄養障害とがん特有の代謝障害(悪液質)が混在していることがあるため、栄養評価を行い、経口経腸摂取が充分に行いえない場合には躊躇なく静脈栄養を行うべきである。悪液質はその特異な代謝異常の詳細が明らかになりつつあるが、未だ効果的な静脈栄養は確立していない。周術期や集学的がん治療を行う場合であっても経口、経腸的な栄養摂取状況を評価し、栄養摂取が不足する場合には適宜静脈栄養を行っていくべきである。  積極的な治療の困難な進行がんでは、悪液質が進行する前に静脈栄養を行い、悪液質の進行抑制や QOLの維持を図っていく。悪液質が進行していない例では HPNの...

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Published in日本静脈経腸栄養学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 927 - 932
Main Authors 長浜, 雄志, 五関, 謹秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会 2015
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ISSN2189-0161
2189-017X
DOI10.11244/jspen.30.927

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Summary:がん患者に対する栄養療法を行うにあたっては、通常の栄養障害とがん特有の代謝障害(悪液質)が混在していることがあるため、栄養評価を行い、経口経腸摂取が充分に行いえない場合には躊躇なく静脈栄養を行うべきである。悪液質はその特異な代謝異常の詳細が明らかになりつつあるが、未だ効果的な静脈栄養は確立していない。周術期や集学的がん治療を行う場合であっても経口、経腸的な栄養摂取状況を評価し、栄養摂取が不足する場合には適宜静脈栄養を行っていくべきである。  積極的な治療の困難な進行がんでは、悪液質が進行する前に静脈栄養を行い、悪液質の進行抑制や QOLの維持を図っていく。悪液質が進行していない例では HPNの導入も選択肢の一つである。  アミノ酸インバランス療法の中では methionine制限が抗腫瘍効果だけでなく5-FUを中心とした化学療法の増感効果も認められている。今後の開発が期待される。
ISSN:2189-0161
2189-017X
DOI:10.11244/jspen.30.927