乳児の向き癖特徴の非接触な検出手法の開発

向き癖とは,乳児が睡眠中に特定の方向に顔を向き続けることである.乳児の向き癖は日常の姿勢や運動の発達に関係している.また,頭蓋変形や発育性股関節脱臼,および斜頸など疾患の原因または症状として表れる.これらの疾患の早期発見,早期予防のために向き癖を判定することは重要である.そこで,本研究では動画を用いて乳児の顔の向きを非接触で検出する手法を提案する.対象とする乳児の顔の向き分類と,そのために開発したアルゴリズムの性能評価を行った.研究対象者は4名の男児(生後8.5±4.5か月)である.対象者の各自宅内で寝具全体が映る範囲にカメラを設置し,終夜睡眠中の撮影を行った.カメラの画角は真上,左上,および...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual60; no. Abstract; p. 210_2
Main Authors 二宮, 結奈, 岡田, 志麻, 王, 天一, 牧川, 方昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2022
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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Summary:向き癖とは,乳児が睡眠中に特定の方向に顔を向き続けることである.乳児の向き癖は日常の姿勢や運動の発達に関係している.また,頭蓋変形や発育性股関節脱臼,および斜頸など疾患の原因または症状として表れる.これらの疾患の早期発見,早期予防のために向き癖を判定することは重要である.そこで,本研究では動画を用いて乳児の顔の向きを非接触で検出する手法を提案する.対象とする乳児の顔の向き分類と,そのために開発したアルゴリズムの性能評価を行った.研究対象者は4名の男児(生後8.5±4.5か月)である.対象者の各自宅内で寝具全体が映る範囲にカメラを設置し,終夜睡眠中の撮影を行った.カメラの画角は真上,左上,および右上から撮影された.いずれの画角からでも顔の向きを検出できるように3つのアルゴリズムを開発した.対象者ごとに顔の向きの分類を行いそれぞれの割合を算出することで,向き癖特徴を検出するためのデータを得ることができた.また,手動分類を行い解析結果と比較することで,開発アルゴリズムの精度を計算した.カメラの画角3種類,真上,左上,および右上それぞれのアルゴリズムの正答率は85.1%,62.7%および78.6%であった.カメラ画角が左右方向からでの正答率を向上させるためには機械学習を用いた顔の向きを検出する方法が示唆される.また,睡眠の乳児は体位も影響することから,顔検出に加えて体位検出することも重要だと考えられる.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual60.210_2