巨大な外傷性腹壁ヘルニアの1例

症例は70歳女性。長芋掘りをしていたときに収穫機のバケットが腹部にぶつかって受傷し,近医を受診した。外傷性腹壁ヘルニアの診断で,手術加療目的に同日当院へ紹介された。上腹部に20×10cmの打撲痕を認め,同部位が膨隆していた。遅発性臓器損傷の可能性も考慮して,待機的手術の方針として入院。入院3日目に直接縫合による開腹ヘルニア修復術を施行した。経過良好で入院12日目に退院。術後3ヵ月経過しても再発は認めていない。本邦でヘルニア門の直径が10cm以上(large hernia)の外傷性腹壁ヘルニアは14例であった。早期手術6例は開腹術,待機的手術8例は腹腔鏡手術であった。メッシュ使用に関しては9例で...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; pp. 573 - 576
Main Authors 箕輪, 啓太, 野田頭, 達也, 十倉, 知久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2022
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Summary:症例は70歳女性。長芋掘りをしていたときに収穫機のバケットが腹部にぶつかって受傷し,近医を受診した。外傷性腹壁ヘルニアの診断で,手術加療目的に同日当院へ紹介された。上腹部に20×10cmの打撲痕を認め,同部位が膨隆していた。遅発性臓器損傷の可能性も考慮して,待機的手術の方針として入院。入院3日目に直接縫合による開腹ヘルニア修復術を施行した。経過良好で入院12日目に退院。術後3ヵ月経過しても再発は認めていない。本邦でヘルニア門の直径が10cm以上(large hernia)の外傷性腹壁ヘルニアは14例であった。早期手術6例は開腹術,待機的手術8例は腹腔鏡手術であった。メッシュ使用に関しては9例であり,開腹術は直接縫合が大半を占めていた。治療が遅滞することで組織の退縮が進行し,ヘルニア門の大きさに応じて腹壁欠損も大きくなり,直接縫合が困難となる可能性が高い。臓器損傷の有無や患者の全身状態に応じて可能な限り早期に手術すべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.573