指タッピングに伴う脳波と皮質電流の信号品質の比較について

脳波を用いた運動想起型BCI(brain-computer interface)では,左手,右手,両足の動作の想起に伴う感覚運動野の活動を判別することが可能である.しかし,指などの,より細かい体部位の判別は,脳波の空間分解能の低さから容易ではない.そこで本研究では,より細かい単位の運動想起を検出できるBCIの開発の基礎研究として,脳波データと,それから推定される皮質電流により指の動作に伴う脳活動の空間分布とS/Nを評価し,両者の比較を行った. 被験者8人に国際10-20法に基づき64チャネルの電極を配置し,右手示指のタッピング課題を2秒間行った際の脳波を計測した.20試行を1セッションとし,各...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 115_1
Main Authors 岡田, 駿之介, 加納, 慎一郎, 小島, 宰門, 根本, 遼史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.115_1

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Summary:脳波を用いた運動想起型BCI(brain-computer interface)では,左手,右手,両足の動作の想起に伴う感覚運動野の活動を判別することが可能である.しかし,指などの,より細かい体部位の判別は,脳波の空間分解能の低さから容易ではない.そこで本研究では,より細かい単位の運動想起を検出できるBCIの開発の基礎研究として,脳波データと,それから推定される皮質電流により指の動作に伴う脳活動の空間分布とS/Nを評価し,両者の比較を行った. 被験者8人に国際10-20法に基づき64チャネルの電極を配置し,右手示指のタッピング課題を2秒間行った際の脳波を計測した.20試行を1セッションとし,各被験者に対して3セッション(60試行)の計測を行った. 実験から得られた脳波応答と,MRIから得られる脳構造データである標準脳モデル(Montreal Neurological Institute)から,VBMEG 3.0-0-a-1(ATR:脳情報通信総合研究所)を用いて皮質電流を算出した.感覚運動野近傍の電極における脳波と,感覚運動野内で推定された皮質電流に対して時間-周波数解析を行い,結果を比較した. 本実験の結果,脳波,皮質電流ともに,指のタッピング運動中にµ,β帯域(8~30Hz)の強度の減衰(事象関連脱同期:ERD)が観測された.しかし,皮質電流のS/Nは脳波に比べて高くなった. 今後,従来容易ではなかった指のような従来に比べて細かい単位での運動想起に伴う脳活動を,脳波から高い精度で判別できるBCIの開発を目指す.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.115_1