医療的ケア児の育児と(リ)ハビリテーションの関わりについてー育児工学への期待ー

医学・医療の進歩により、気管切開、人工呼吸管理、胃瘻等による経管栄養、頻回の吸引などの医療的ケアを日常的に受けながら生活している日本全国の在宅医療的ケア児の数は、2021年時点で2万人強と推定されている。生体医工学は、医療的ケア児の日常生活における生命機能のモニタリング、維持に大きな役割を果たしてきたことは言うまでもない。しかし、医療的ケア児をとりまく多くの医療機器の操作・維持管理には一定の知識と技術が要求され、日常的に児を介護している家族は、絶え間のない緊張にさらされてきた。最近では、在宅の医療モニターや医療機器と医療機関を通信回線で接続して、これらの計測値や稼働状況を外部からモニタリングし...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual62; no. Abstract; p. 159_1
Main Author 小崎, 慶介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2024
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual62.159_1

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Summary:医学・医療の進歩により、気管切開、人工呼吸管理、胃瘻等による経管栄養、頻回の吸引などの医療的ケアを日常的に受けながら生活している日本全国の在宅医療的ケア児の数は、2021年時点で2万人強と推定されている。生体医工学は、医療的ケア児の日常生活における生命機能のモニタリング、維持に大きな役割を果たしてきたことは言うまでもない。しかし、医療的ケア児をとりまく多くの医療機器の操作・維持管理には一定の知識と技術が要求され、日常的に児を介護している家族は、絶え間のない緊張にさらされてきた。最近では、在宅の医療モニターや医療機器と医療機関を通信回線で接続して、これらの計測値や稼働状況を外部からモニタリングし、家族の質問や不安に応えたり、異常値を示す場合に医療機関から臨時に訪問するなど試みも行われてきている。また、各種の医療機器が接続されている状況でも(リ)ハビリテーション関連職種が適切にセラピーを実施するスキルが共有され、濃厚な医療的ケアを要する在宅児であっても、訪問(リ)ハビリテーションを受けることが可能となっている場合もある。コロナ禍を奇貨とした家庭における通信環境の充実は、濃厚な医療的ケアを要する在宅児の社会参加機会の拡大にも寄与している。今後は、家族支援の充実も待たれるところであり、この点に関して育児工学が果たしうる役割は大きいと期待される。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual62.159_1