TTF-1染色により診断した肺原発神経内分泌腫瘍肝転移の1例

患者は66歳,女性.近医での腹部超音波検査で肝S6に40mm大の新たに出現した肝腫瘤を指摘された.CTでは腫瘍辺縁が軽度造影される境界明瞭な低吸収域として描出された.また,右肺S8に8mm大の結節を認めたが,経過観察とした.肝悪性腫瘍を否定できないことから,肝部分切除を行った.切除標本では境界明瞭な充実性腫瘍で,組織学的に核/細胞質比の高い紡錘形の異型細胞が胞巣状・索状に増殖し,免疫染色ではクロモグラニンA,シナプトフィジンが陽性であり,神経内分泌腫瘍と診断された.また,免疫染色でthyroid transcription factor (TTF)-1が陽性であることから,肺原発であることが示...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 1; pp. 89 - 95
Main Authors 茂木, はるか, 若林, 俊樹, 山田, 修平, 新保, 知規, 菊地, 功, 佐藤, 勤, 提嶋, 眞人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:患者は66歳,女性.近医での腹部超音波検査で肝S6に40mm大の新たに出現した肝腫瘤を指摘された.CTでは腫瘍辺縁が軽度造影される境界明瞭な低吸収域として描出された.また,右肺S8に8mm大の結節を認めたが,経過観察とした.肝悪性腫瘍を否定できないことから,肝部分切除を行った.切除標本では境界明瞭な充実性腫瘍で,組織学的に核/細胞質比の高い紡錘形の異型細胞が胞巣状・索状に増殖し,免疫染色ではクロモグラニンA,シナプトフィジンが陽性であり,神経内分泌腫瘍と診断された.また,免疫染色でthyroid transcription factor (TTF)-1が陽性であることから,肺原発であることが示唆された.その後,胸腔鏡補助下右S8区域切除が施行され,肺腫瘍は肝と同様の病理所見であり,肺が原発巣,肝は転移巣と診断された.本症例では肝腫瘍のTTF-1染色が契機として診断に至り,臨床的にTTF-1染色が有用であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.89