循環器領域における高齢化と先進医療 高齢者心不全の治療戦略

要旨:高齢化に伴い,心不全患者が増加している。治療の進歩にもかかわらず死亡率は高く,また医療コストは高額である。心不全の原疾患は様々であるが,高齢者に多い心臓弁膜症と心アミロイドーシスを中心に最新の治療について概説する。大動脈弁狭窄症に対して,経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)が行われている。身体への負担が少ないため,開胸外科手術のリスクが高い症例にも治療可能で,入院期間は短く,早期に社会復帰できる。僧帽弁閉鎖不全症もカテーテルで治療できるようになった。心アミロイドーシスも高齢者に多く,極めて予後が不良な疾患である。近年,トランスサイレチン型に対する核酸医薬を含む新しい治療法が開発さ...

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Published in福島医学雑誌 Vol. 72; no. 3; pp. 103 - 108
Main Author 竹石, 恭知
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 福島医学会 2022
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ISSN0016-2582
2436-7826
DOI10.5387/fmedj.72.3_103

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Summary:要旨:高齢化に伴い,心不全患者が増加している。治療の進歩にもかかわらず死亡率は高く,また医療コストは高額である。心不全の原疾患は様々であるが,高齢者に多い心臓弁膜症と心アミロイドーシスを中心に最新の治療について概説する。大動脈弁狭窄症に対して,経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)が行われている。身体への負担が少ないため,開胸外科手術のリスクが高い症例にも治療可能で,入院期間は短く,早期に社会復帰できる。僧帽弁閉鎖不全症もカテーテルで治療できるようになった。心アミロイドーシスも高齢者に多く,極めて予後が不良な疾患である。近年,トランスサイレチン型に対する核酸医薬を含む新しい治療法が開発され,大規模臨床試験で効果が示された。難治性心疾患に対する先進医療を広く普及させ,心疾患死亡率の低下を目指したい。
ISSN:0016-2582
2436-7826
DOI:10.5387/fmedj.72.3_103