形質転換Cos細胞およびニワトリ脳に発現したニワトリKitチロシンリン酸化酵素の生化学的性状
c-kit遺伝子がコードしているKitタンパク質チロシンリン酸化酵素は, stem cell factor(SCF)の受容体であり, 各種造血系前駆細胞等の分化・増殖に必須である. Cos-1細胞にニワトリc-kit遺伝子を有する発現ベクターを導入し, 野生型chKitタンパク質(chKit+), およびタンパク質中の777番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基に置換した変異型chKitタンパク質(chKit 42)を発現させた結果, N-グリコシド型糖鎖が付加した130キロダルトン(kDa)および145 kDaのタンパク質の産生が認められた. chKit+は, ニワトリSCFの刺激により...
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Published in | Journal of Veterinary Medical Science Vol. 57; no. 2; pp. 231 - 236 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
公益社団法人 日本獣医学会
1995
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-7250 1347-7439 |
DOI | 10.1292/jvms.57.231 |
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Summary: | c-kit遺伝子がコードしているKitタンパク質チロシンリン酸化酵素は, stem cell factor(SCF)の受容体であり, 各種造血系前駆細胞等の分化・増殖に必須である. Cos-1細胞にニワトリc-kit遺伝子を有する発現ベクターを導入し, 野生型chKitタンパク質(chKit+), およびタンパク質中の777番目のアスパラギン酸残基がアスパラギン残基に置換した変異型chKitタンパク質(chKit 42)を発現させた結果, N-グリコシド型糖鎖が付加した130キロダルトン(kDa)および145 kDaのタンパク質の産生が認められた. chKit+は, ニワトリSCFの刺激によりその自己リン酸化の程度が上昇するが, マウスSCFに対しては応答しなかった. また, chKit 42の自己リン酸化酵素活性は認められなかった. さらに, ニワトリ脳においてシアル酸残基が付加した145 kDaのchKitが存在すること, また, このタンパク質が自己リン酸化酵素活性を持つことが示された. 以上の結果はchKitが噛乳類のKitタンパク質と構造的および機能的に類似していることを示しており, chKitがニワトリの造血系の前駆細胞等の分化・増殖に関与している可能性を示唆するものである. |
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ISSN: | 0916-7250 1347-7439 |
DOI: | 10.1292/jvms.57.231 |