高知市における救急搬送活動記録を用いた転倒・転落の実態調査

目的 本研究では,高知市の救急搬送活動記録を用いて,成人と高齢者における転倒・転落の実態調査を行い,性別・年代別に転倒・転落の発生時期および発生場所の検討を行うことを目的とした。 方法 対象は,平成17年 1 月から平成17年12月までに,高知市消防局の救急隊により搬送が行われた転倒・転落延べ967件とした。調査項目は,受傷者の性別,年代,転倒・転落の発生時期,発生場所の計 4 項目とした。年代は,成人(満18歳から満65歳未満)と,高齢者(満65歳以上)に分類された項目を抽出した。 結果 性別・年代別の人口1,000人当たりの転倒・転落搬送件数は,成人において1.32件(男性1.55件,女性...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 56; no. 5; pp. 322 - 327
Main Authors 佐藤, 厚, 吉本, 好延, 佐野, 尚美, 三木, 章江, 浜岡, 克伺
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2009
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.56.5_322

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Summary:目的 本研究では,高知市の救急搬送活動記録を用いて,成人と高齢者における転倒・転落の実態調査を行い,性別・年代別に転倒・転落の発生時期および発生場所の検討を行うことを目的とした。 方法 対象は,平成17年 1 月から平成17年12月までに,高知市消防局の救急隊により搬送が行われた転倒・転落延べ967件とした。調査項目は,受傷者の性別,年代,転倒・転落の発生時期,発生場所の計 4 項目とした。年代は,成人(満18歳から満65歳未満)と,高齢者(満65歳以上)に分類された項目を抽出した。 結果 性別・年代別の人口1,000人当たりの転倒・転落搬送件数は,成人において1.32件(男性1.55件,女性1.11件),高齢者において10.48件(男性9.14件,女性11.32件)であった。性別・年代別にみた屋外での転倒・転落搬送の割合は,高い順に女性成人(60.8%),男性成人(56.8%),男性高齢者(54.9%),女性高齢者(36.6%)であり,女性高齢者を除いた全ての年代で,屋外での転倒・転落搬送の割合が屋内での転倒・転落の割合を上回っていた。性別・年代別・季節別の転倒・転落搬送の割合は,いずれの性別・年代においても,冬季(12-2 月)の転倒・転落搬送の割合が最も高率であり,月別では,12月の転倒・転落搬送の割合が最も高率を認めた。 結論 転倒・転落状況は,対象者の性別や年代,季節によって大きく異なっており,受傷者の身体活動量や気候および季節行事の違いによって,転倒・転落の原因や発生場所に相違を認めると考えられた。消防局の救急搬送活動記録を活用することで,地域間での転倒・転落状況の比較が可能となり,季節や地域性を考慮した転倒・転落予防対策の提案に向けた新しいアプローチになることが期待される。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.56.5_322