とうもろこしの胚の発育について

胚の発育過程を雑種強勢発現度の強い組合せ (376×191) とその両親について調査し次のことがわかつた. 1) 成熟期の胚葉は雑種では6枚両親は5枚分化していた. 胚の発生過程で生長点のみられたのは雑種では授粉後10日目頃, 両親はこれより遅かつた. 2) 組織の分化で雑種と両親間の主な差は授粉後10~15日ごろに胚葉数にみられるが, その後はこの差を保つにすぎない. 3) 胚の生育を時間的にみると全量は連続的に増加する. 1日当りの生長量は初め加速的だが途中から減速的になる. 組織の単位当りの生長の増加率は減速的でこれは細胞分裂速度が減速的であることを示している. これらは雑種やその両親に...

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Published in日本作物学会紀事 Vol. 27; no. 4; pp. 448 - 450
Main Authors 浦野, 啓司, 坂口, 進
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本作物学会 1959
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.27.448

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Summary:胚の発育過程を雑種強勢発現度の強い組合せ (376×191) とその両親について調査し次のことがわかつた. 1) 成熟期の胚葉は雑種では6枚両親は5枚分化していた. 胚の発生過程で生長点のみられたのは雑種では授粉後10日目頃, 両親はこれより遅かつた. 2) 組織の分化で雑種と両親間の主な差は授粉後10~15日ごろに胚葉数にみられるが, その後はこの差を保つにすぎない. 3) 胚の生育を時間的にみると全量は連続的に増加する. 1日当りの生長量は初め加速的だが途中から減速的になる. 組織の単位当りの生長の増加率は減速的でこれは細胞分裂速度が減速的であることを示している. これらは雑種やその両親に於て同一傾向を示す. 4) 胚の生育期間中雑種強勢は常にみられるがその度合は時期的に差があり, 授粉後10~15日頃が最高を示しそののちは減少的傾向を示す. これらのことは組織的変化, 縦断面積, 生体重, 乾物重に於てほぼ同一の傾向を示すものと思われる.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.27.448