起立時に増悪する難聴が治療後に改善した特発性脳脊髄液減少症の 1 例―治療効果判定の客観的指標としての臥位および座位時聴力検査
症例は 51 歳女性である.主訴は右耳閉感,起立時の頭痛.髄液圧は 0 mmH2O で,頸胸椎ミエログラフィー,脳槽シンチグラフィーにて頸胸椎移行部に髄液漏出像をみとめ,特発性脳脊髄液減少症と診断した.臥位と座位での両状態において実施した標準純音聴力検査では,座位で増悪する右低音部難聴をみとめた.ブラッドパッチなどの治療により,頭痛と体位変換にともなう聴力差は改善した.体位変換時の聴力検査は,難聴をともなう特発性脳脊髄液減少症の診断,治療の効果判定において非侵襲的で客観的な検査法となりうると考える....
Saved in:
Published in | 臨床神経学 Vol. 53; no. 1; pp. 50 - 53 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
01.01.2013
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.53.50 |
Cover
Summary: | 症例は 51 歳女性である.主訴は右耳閉感,起立時の頭痛.髄液圧は 0 mmH2O で,頸胸椎ミエログラフィー,脳槽シンチグラフィーにて頸胸椎移行部に髄液漏出像をみとめ,特発性脳脊髄液減少症と診断した.臥位と座位での両状態において実施した標準純音聴力検査では,座位で増悪する右低音部難聴をみとめた.ブラッドパッチなどの治療により,頭痛と体位変換にともなう聴力差は改善した.体位変換時の聴力検査は,難聴をともなう特発性脳脊髄液減少症の診断,治療の効果判定において非侵襲的で客観的な検査法となりうると考える. |
---|---|
ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.53.50 |