心拍再開とカテコラミン・バソプレシン
過去30年以上にわたって, アドレナリン, 炭酸水素ナトリウム, および塩化カルシウムが, 心肺蘇生の薬物治療のABCといわれてきたが, このうち, 現在主に推奨されているのはアドレナリンのみである. 本稿では, 心肺蘇生時の薬物治療として, 最近注目されているバソプレシンに関する最近の知見を, カテコラミンと比較しながら述べる. カテコラミン 心肺蘇生時, 脳や心臓の血流を保つために末梢抵抗血管を収縮させることが重要で, アドレナリンはα受容体に作用して全身の末梢血管を収縮させ, 冠灌流圧を高く保って自己心拍の再開をもたらす. 一方, アドレナリンのβ作用は, 心筋の酸素消費量を増加させ,...
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Published in | 蘇生 Vol. 18; no. 2; pp. 148 - 151 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
20.07.1999
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Subjects | |
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ISSN | 0288-4348 1884-748X |
DOI | 10.11414/jjreanimatology1983.18.148 |
Cover
Summary: | 過去30年以上にわたって, アドレナリン, 炭酸水素ナトリウム, および塩化カルシウムが, 心肺蘇生の薬物治療のABCといわれてきたが, このうち, 現在主に推奨されているのはアドレナリンのみである. 本稿では, 心肺蘇生時の薬物治療として, 最近注目されているバソプレシンに関する最近の知見を, カテコラミンと比較しながら述べる. カテコラミン 心肺蘇生時, 脳や心臓の血流を保つために末梢抵抗血管を収縮させることが重要で, アドレナリンはα受容体に作用して全身の末梢血管を収縮させ, 冠灌流圧を高く保って自己心拍の再開をもたらす. 一方, アドレナリンのβ作用は, 心筋の酸素消費量を増加させ, 心室細動時の心筋虚血を増悪し, 催不整脈作用により自己心拍の再開や持続を困難にする. 動物実験で, アドレナリン単独投与と比べ, アドレナリンとβ_1 遮断薬(エスモロール)を併用した方が, 心拍再開に要する電気的除細動の回数が少なく, 心拍再開後の心収縮能が良好といわれる1). |
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ISSN: | 0288-4348 1884-748X |
DOI: | 10.11414/jjreanimatology1983.18.148 |