再形成真珠腫の防止法:canal wall up法

外耳道の骨性枠組みを保存するcanal wall up法は,形成鼓膜の再陥凹から真珠腫再形成に至るプロセスが再現され易いことが欠点とされてきた。これを防ぐには乳突削開の際にできるだけ粘膜を保存し,鼓膜陥凹の発生部位である上鼓室を耳管や前・中鼓室から孤立させないための対策を講じる必要がある。交通路造設は前鼓室開放術が基本であるが,耳管上陥凹粘膜弁の利用や粘膜移植等で開存性の維持に努める。tympanic isthmus病変が高度の場合には,キヌタ骨,ツチ骨頭の除去や鼓膜張筋腱切除を行う。その他,耳介軟骨による上鼓室側壁形成,鼓膜換気チューブ,耳管内へのチューブ留置,症例に応じて乳突充填を併用する...

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Published in頭頸部外科 Vol. 14; no. 1; pp. 27 - 32
Main Author 東野, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 30.06.2004
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.14.27

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Summary:外耳道の骨性枠組みを保存するcanal wall up法は,形成鼓膜の再陥凹から真珠腫再形成に至るプロセスが再現され易いことが欠点とされてきた。これを防ぐには乳突削開の際にできるだけ粘膜を保存し,鼓膜陥凹の発生部位である上鼓室を耳管や前・中鼓室から孤立させないための対策を講じる必要がある。交通路造設は前鼓室開放術が基本であるが,耳管上陥凹粘膜弁の利用や粘膜移植等で開存性の維持に努める。tympanic isthmus病変が高度の場合には,キヌタ骨,ツチ骨頭の除去や鼓膜張筋腱切除を行う。その他,耳介軟骨による上鼓室側壁形成,鼓膜換気チューブ,耳管内へのチューブ留置,症例に応じて乳突充填を併用する。前・中鼓室~上鼓室粘膜病変が極めて高度な場合にはシリコンシート留置による段階手術に持ちこむ。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.14.27