Cardio-Oncologyの現状と展望

がん医療の進歩は,がん患者の生命予後を飛躍的に向上させたが,治療の長期化に伴う種々の心血管系有害事象が問題となっている.このような現状に対応すべく,腫瘍循環器学(cardio-oncology)は腫瘍学及び循環器学的見地から,がん患者を総合的に診療する新たな学術分野として誕生し,発展を続けている.主に抗がん化学療法に由来する心血管毒性の分子生物学的な基礎研究による病態機序の提唱や,欧米を中心とした大規模な臨床研究の結果から,部分的ではあるものの,複数のガイドラインやステートメントが公表された.しかし,真に各々の病態を理解し,それを克服するためには,さらなるエビデンスの蓄積が必要であり,課題は山...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 109; no. 4; pp. 819 - 826
Main Authors 石田, 純一, 門脇, 裕, 赤澤, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 10.04.2020
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.109.819

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Summary:がん医療の進歩は,がん患者の生命予後を飛躍的に向上させたが,治療の長期化に伴う種々の心血管系有害事象が問題となっている.このような現状に対応すべく,腫瘍循環器学(cardio-oncology)は腫瘍学及び循環器学的見地から,がん患者を総合的に診療する新たな学術分野として誕生し,発展を続けている.主に抗がん化学療法に由来する心血管毒性の分子生物学的な基礎研究による病態機序の提唱や,欧米を中心とした大規模な臨床研究の結果から,部分的ではあるものの,複数のガイドラインやステートメントが公表された.しかし,真に各々の病態を理解し,それを克服するためには,さらなるエビデンスの蓄積が必要であり,課題は山積している.cardio-oncologyの現状と今後の展望について記述する.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.109.819