臨床に役立つ局所解剖 喉頭の血管神経支配
I. 喉頭への血液供給は, 上・下甲状腺動脈の枝である上・下喉頭動脈と, 一部は上甲状腺動脈からの輪状甲状枝から行われる(図1). 1. 上甲状腺動脈(superior thyroid artery)は, 外頸動脈の第1枝で, まれに総頸動脈の分枝として直接出ている. この動脈は, 上前方に出て舌骨大角の先端近くで舌下枝を出し, 甲状軟骨上角付近で, 上喉頭動脈を分枝した後, 中下咽頭収縮筋の外側表面を下行し甲状腺上極にて胸鎖乳突筋に小枝を出す. 2. 上喉頭動脈(superior laryngeal artery)は, 上喉頭神経, 静脈とともに甲状舌骨膜を貫通して, 喉頭内に入り梨子状窩に...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 94; no. 11; pp. 1794 - 1797 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.11.1991
日本耳鼻咽喉科学会 |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.94.11_1794 |
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Summary: | I. 喉頭への血液供給は, 上・下甲状腺動脈の枝である上・下喉頭動脈と, 一部は上甲状腺動脈からの輪状甲状枝から行われる(図1). 1. 上甲状腺動脈(superior thyroid artery)は, 外頸動脈の第1枝で, まれに総頸動脈の分枝として直接出ている. この動脈は, 上前方に出て舌骨大角の先端近くで舌下枝を出し, 甲状軟骨上角付近で, 上喉頭動脈を分枝した後, 中下咽頭収縮筋の外側表面を下行し甲状腺上極にて胸鎖乳突筋に小枝を出す. 2. 上喉頭動脈(superior laryngeal artery)は, 上喉頭神経, 静脈とともに甲状舌骨膜を貫通して, 喉頭内に入り梨子状窩に分布し, 喉頭上部へ血液を供給する. 3. 下喉頭動脈(inferior laryngeal artery)は, 鎖骨下動脈から甲状頸動脈をへて, 下甲状腺動脈の延長上にあり, 下喉頭神経(反回神経)とともに, 気管食道溝を上行し, 下咽頭収縮筋の最下端部で, 輪状咽頭筋を貫いて喉頭内に入り, 梨状窩に達し, 喉頭下部から声帯遊離縁まで血液を供給する. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.94.11_1794 |