術前大腸内視鏡検査が治療方針決定に有用であった非閉塞性腸間膜虚血症の2例

非閉塞性腸間膜虚血症は, 動脈の攣縮により起こる虚血性疾患である。非可逆性であれば手術が必要となるが, 広範囲の腸管が壊死した症例でも下部直腸と肛門管が虚血に陥ることはまれなため肛門は温存可能な例が多数を占める。今回, われわれは広範な虚血性変化をきたした本症の2例を経験した。腹部CTでは2例とも両側内腸骨動脈に明らかな石灰化が起こっていた。術前の大腸内視鏡検査で肛門管に高度の虚血性変化があったため, 2例とも広範囲小腸切除とともに大腸全摘除術を選択した。肛門管が虚血に陥った背景には動脈硬化による内腸骨動脈系の血流量低下があると考えられるが, とくに内腸骨動脈に高度の病変がある例には術前内視鏡...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 3; pp. 521 - 523
Main Authors 原, 敬志, 子野日, 政昭, 沼田, 昭彦, 加藤, 紘之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2005
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Summary:非閉塞性腸間膜虚血症は, 動脈の攣縮により起こる虚血性疾患である。非可逆性であれば手術が必要となるが, 広範囲の腸管が壊死した症例でも下部直腸と肛門管が虚血に陥ることはまれなため肛門は温存可能な例が多数を占める。今回, われわれは広範な虚血性変化をきたした本症の2例を経験した。腹部CTでは2例とも両側内腸骨動脈に明らかな石灰化が起こっていた。術前の大腸内視鏡検査で肛門管に高度の虚血性変化があったため, 2例とも広範囲小腸切除とともに大腸全摘除術を選択した。肛門管が虚血に陥った背景には動脈硬化による内腸骨動脈系の血流量低下があると考えられるが, とくに内腸骨動脈に高度の病変がある例には術前内視鏡検査が必須である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.25.521