腹膜播種切除後9年8カ月生存中の膵solid pseudopapillary neoplasmの1例

膵solid pseudopapillary neoplasm (SPN)は,低悪性度腫瘍であり,遠隔転移は稀である.今回,腹膜播種切除後,長期生存中の膵SPNの1例を経験したので報告する.症例は21歳の女性で,10歳時に外傷性膵嚢胞に対する膵嚢胞空腸吻合術の既往があった.背部痛で受診し,CTにて骨盤内に嚢胞性腫瘤を認め,膵尾部にも嚢胞性病変を指摘された.骨盤内腫瘤を摘出したところ,膵SPNに特徴的な所見であり,その後,膵尾部の嚢胞性病変を切除し,膵SPNの腹膜播種と診断した.現在,初回手術後から9年8カ月経過しているが,再発や転移なく健存中である.SPNの腹膜播種の成因は主に腫瘍破裂や外科的...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 10; pp. 2866 - 2870
Main Authors 奥田, 耕司, 菊地, 一公, 大島, 隆宏, 三澤, 一仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:膵solid pseudopapillary neoplasm (SPN)は,低悪性度腫瘍であり,遠隔転移は稀である.今回,腹膜播種切除後,長期生存中の膵SPNの1例を経験したので報告する.症例は21歳の女性で,10歳時に外傷性膵嚢胞に対する膵嚢胞空腸吻合術の既往があった.背部痛で受診し,CTにて骨盤内に嚢胞性腫瘤を認め,膵尾部にも嚢胞性病変を指摘された.骨盤内腫瘤を摘出したところ,膵SPNに特徴的な所見であり,その後,膵尾部の嚢胞性病変を切除し,膵SPNの腹膜播種と診断した.現在,初回手術後から9年8カ月経過しているが,再発や転移なく健存中である.SPNの腹膜播種の成因は主に腫瘍破裂や外科的処置による腹腔内散布であり,積極的な外科的切除により良好な転帰が期待できる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2866