マイクロアレイ法による新しいアレルギー炎症性疾患診断マーカー

トランスクリプトームという用語は,一つの細胞に存在する全てのmRNA情報のことを指す.マイクロアレイ技術の急速な進歩により,多くの研究施設で日常的にトランスクリプトーム測定が行われるようになった.本稿では,マイクロアレイをもちいて発見された新しいアレルギー炎症性疾患診断マーカーについて紹介する.その一つアンフィレギュリンは,ヒトマスト細胞に特異的に発現し,アレルギー炎症刺激で活性化されるが,副腎皮質ステロイド薬により転写が抑制されない遺伝子として戦略的に発見された.この分子は種々の気道リモデリング関連現象をひきおこす.最近,この分子は寄生虫感染防御時の上皮過形成に不可欠であることが判明した.気...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 96; no. 6; pp. 1214 - 1219
Main Author 斎藤, 博久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 2007
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.96.1214

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Summary:トランスクリプトームという用語は,一つの細胞に存在する全てのmRNA情報のことを指す.マイクロアレイ技術の急速な進歩により,多くの研究施設で日常的にトランスクリプトーム測定が行われるようになった.本稿では,マイクロアレイをもちいて発見された新しいアレルギー炎症性疾患診断マーカーについて紹介する.その一つアンフィレギュリンは,ヒトマスト細胞に特異的に発現し,アレルギー炎症刺激で活性化されるが,副腎皮質ステロイド薬により転写が抑制されない遺伝子として戦略的に発見された.この分子は種々の気道リモデリング関連現象をひきおこす.最近,この分子は寄生虫感染防御時の上皮過形成に不可欠であることが判明した.気道リモデリングとは寄生虫防御に関連した生体反応であり,ステロイド薬等の治療では容易に制御されないのかもしれない.その他,アレルギー炎症を網羅的に捉える試みなどについても言及する.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.96.1214