アセトアミノフェンによる急性肝不全・急性型の1例

アセトアミノフェンの内服薬であるカロナールⓇの過量投与による肝障害の報告は多数あるが,静注剤であるアセリオⓇの過量投与による肝障害の報告例は少ない.今回我々は,周術期疼痛管理におけるアセリオⓇの過量投与による昏睡型急性肝不全の一例を経験した.アセリオⓇ投与開始から3日目に著明な肝障害を来しており,経過からアセトアミノフェンの薬物性肝障害と診断し,N-acetylcystein(NAC)や薬物吸着療法を開始した.その後III度の肝性脳症が出現したため,アンモニアなどの小分子量物質の除去と人工肝補助を目的に高流量血液濾過透析(high-flow CHDF)を開始し,速やかな改善が得られた.アセリオ...

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Published in肝臓 Vol. 59; no. 7; pp. 363 - 369
Main Authors 日浦, 政明, 米田, 晃敏, 烏山, 司, 本間, 雄一, 原田, 大, 柴田, 道彦, 蒲地, 正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 20.07.2018
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.59.363

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Summary:アセトアミノフェンの内服薬であるカロナールⓇの過量投与による肝障害の報告は多数あるが,静注剤であるアセリオⓇの過量投与による肝障害の報告例は少ない.今回我々は,周術期疼痛管理におけるアセリオⓇの過量投与による昏睡型急性肝不全の一例を経験した.アセリオⓇ投与開始から3日目に著明な肝障害を来しており,経過からアセトアミノフェンの薬物性肝障害と診断し,N-acetylcystein(NAC)や薬物吸着療法を開始した.その後III度の肝性脳症が出現したため,アンモニアなどの小分子量物質の除去と人工肝補助を目的に高流量血液濾過透析(high-flow CHDF)を開始し,速やかな改善が得られた.アセリオⓇの使用は静注剤である利便性から今後も臨床現場での使用頻度は増加すると思われるが,薬物中毒による昏睡型急性肝不全は救命率が低く,使用時には用法・用量を守り肝障害の出現に注意する必要がある.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.59.363