先天性QT延長症候群におけるelectrical stormに対するCa拮抗薬の使い方
先天性QT延長症候群(LQTS)の薬物治療としては,β遮断薬のほかに,内向き電流を減少させるIb群Na+チャネル遮断薬やCa拮抗薬,外向き電流を増加させるK+チャネル開口薬などが考えられる.Ca拮抗薬のベラパミルは,単相性活動電位(monophasic action potential ; MAP)記録を用いた臨床研究や,動脈灌流心室筋切片標本を用いた実験的LQTSモデルによる検討からその有効性が報告されている.当院では主にβ遮断薬治療による外来経過観察中に遺伝子型が同定された先天性LQTS患者193例中11例(5.7%)で,torsade de pointes(TdP)の反復によるelect...
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Published in | 心電図 Vol. 30; no. 1; pp. 55 - 62 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本不整脈心電学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1660 1884-2437 |
DOI | 10.5105/jse.30.55 |
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Summary: | 先天性QT延長症候群(LQTS)の薬物治療としては,β遮断薬のほかに,内向き電流を減少させるIb群Na+チャネル遮断薬やCa拮抗薬,外向き電流を増加させるK+チャネル開口薬などが考えられる.Ca拮抗薬のベラパミルは,単相性活動電位(monophasic action potential ; MAP)記録を用いた臨床研究や,動脈灌流心室筋切片標本を用いた実験的LQTSモデルによる検討からその有効性が報告されている.当院では主にβ遮断薬治療による外来経過観察中に遺伝子型が同定された先天性LQTS患者193例中11例(5.7%)で,torsade de pointes(TdP)の反復によるelectrical storm(ES)を認めた.ESのリスク因子としては,女性,発端者,LQT2型,失神・心停止・TdPの既往,Schwartzスコアー≧6,安静時QT時間≧ 500msecが,直接的な誘因としては,低K血症や低Mg血症があげられた.ES急性期の治療として,Ca拮抗薬のベラパミルの静注と持続点滴が有効であった. |
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ISSN: | 0285-1660 1884-2437 |
DOI: | 10.5105/jse.30.55 |