スキー実習における主観的および客観的疲労度の変化
本研究の目的は,スキー教室における主観的および客観的疲労の変化を調査し,学生の体調管理を含む授業計画を作成するための知見を得ることであった.スキー実習に参加した大学生20人(男性11人,女性9人)を対象とした.スキー実習は3泊4日で行われた.主観的疲労の指標として,自覚症しらべおよび疲労部位しらべを,客観的疲労の指標として,握力,垂直跳(CMJ),脚伸展挙上テスト(SLRテスト),心拍数,唾液アミラーゼおよび筋硬度を測定した.測定は,主観的疲労を午前(7時前後)と午後(20時前後)に,客観的疲労を午後に行った.主な結果として,自覚症しらべ(Ⅳカテゴリー:だるさ感)は初日における実習前の測定と比...
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Published in | 大学体育スポーツ学研究 Vol. 17; pp. 79 - 85 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 全国大学体育連合
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2434-7957 |
DOI | 10.20723/jpeshe.17.0_79 |
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Summary: | 本研究の目的は,スキー教室における主観的および客観的疲労の変化を調査し,学生の体調管理を含む授業計画を作成するための知見を得ることであった.スキー実習に参加した大学生20人(男性11人,女性9人)を対象とした.スキー実習は3泊4日で行われた.主観的疲労の指標として,自覚症しらべおよび疲労部位しらべを,客観的疲労の指標として,握力,垂直跳(CMJ),脚伸展挙上テスト(SLRテスト),心拍数,唾液アミラーゼおよび筋硬度を測定した.測定は,主観的疲労を午前(7時前後)と午後(20時前後)に,客観的疲労を午後に行った.主な結果として,自覚症しらべ(Ⅳカテゴリー:だるさ感)は初日における実習前の測定と比較して,3日目の朝,夜および最終日である4日目の朝が有意に高値を示した.その他の変数であるⅠ群(ねむけ感),Ⅱ群(不安定感),Ⅲ群(不快感),Ⅴ群(ぼやけ感)においては有意な変化は認められなかった.疲労部位しらべによる疲労の訴えは,下腿・足においては実習前の値と比較して2日目の夜から,上肢および臀部・大腿部においては3日目の午前から有意に増加がみられた。一方で,客観的指標(握力およびSLRテスト)は実習前と比較して1日目の夜から有意な低下を示した.さらに,CMJにおいても2日目から有意な低下を示した.これらの結果から,主観的疲労と客観的疲労の両者の間に不一致が生じていると考えられた.すなわち,自身が感じている以上に疲労の蓄積が進んでいることを示唆しており,学生の健康管理を主観的な指標のみで把握することの困難さを示すとともに,より一層の健康管理の必要性を示唆するものである. |
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ISSN: | 2434-7957 |
DOI: | 10.20723/jpeshe.17.0_79 |