肝由来培養細胞の増殖に及ぼす副腎皮質ホルモンの影響

各種培養細胞を用い,細胞増殖に及ぼす各種副腎皮質ホルモンの影響を観察した.各種副腎皮質ホルモンは,成熟ラット肝から分離した上皮様細胞を除くと,既存の株化線維芽細胞(3T3, NRK, L),ヒト肝由来の株化肝細胞(Chang)および成熟ラット肝から分離した線維芽細胞に対し,いずれも細胞増殖抑制的に作用し,その作用は0.05~50μg/mlの濃度ではdosis responseが認められた.この作用の強さは細胞種間および副腎皮質ホルモン製剤間でそれぞれ差がみられ,ヒト肝由来のChang細胞は最も感受性が高く,またBetamethasone, Prednisolone,Hydrocortisone...

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Published in肝臓 Vol. 19; no. 7; pp. 627 - 632
Main Authors 片山, 敬, 三浦, 幸子, 島村, 真里子, 木村, 恒夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.07.1978
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.19.627

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Summary:各種培養細胞を用い,細胞増殖に及ぼす各種副腎皮質ホルモンの影響を観察した.各種副腎皮質ホルモンは,成熟ラット肝から分離した上皮様細胞を除くと,既存の株化線維芽細胞(3T3, NRK, L),ヒト肝由来の株化肝細胞(Chang)および成熟ラット肝から分離した線維芽細胞に対し,いずれも細胞増殖抑制的に作用し,その作用は0.05~50μg/mlの濃度ではdosis responseが認められた.この作用の強さは細胞種間および副腎皮質ホルモン製剤間でそれぞれ差がみられ,ヒト肝由来のChang細胞は最も感受性が高く,またBetamethasone, Prednisolone,Hydrocortisoneの順に作用が強く発現した.線維芽細胞に対しては比較的作用が弱く,その強さも逆の順であるかの如くであった.以上の成績から,肝疾患に対する副腎皮質ホルモン投与に際しては,肝細胞に対する副腎皮質ホルモンの細胞増殖抑制機序ならびに製剤間にみられる作用の強さの差なども考慮すべきことを考察した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.19.627