無血清培地における破骨細胞前駆細胞の形成とM-CSFの影響

in vitroで破骨細胞分化誘導システムが骨髄細胞あるいは脾細胞を用いてすでに確立されており, 多くの因子の破骨細胞分化における作用が報告されている。しかしながら, これらのシステムは高濃度の血清を含んでいるため, これらの血清が種々の因子の破骨細胞の分化に影響する可能性が考えられる。われわれはすでにラット骨芽細胞様細胞 (ROS 17/2.8) の培養上清 (htROSCM) を用いて, ラット骨髄細胞からの破骨細胞の分化を著しく促進させることを報告した。そこで, 本研究においては, 同じ骨芽細胞様細胞から無血清の培養上清 (sfhtROSCM) を作製し, 無血清培地を用いてラット骨髄細...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 40; no. 3; pp. 161 - 168
Main Authors 久木田, 明子, 久木田, 敏夫, 小橋, 修
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 20.06.1998
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Summary:in vitroで破骨細胞分化誘導システムが骨髄細胞あるいは脾細胞を用いてすでに確立されており, 多くの因子の破骨細胞分化における作用が報告されている。しかしながら, これらのシステムは高濃度の血清を含んでいるため, これらの血清が種々の因子の破骨細胞の分化に影響する可能性が考えられる。われわれはすでにラット骨芽細胞様細胞 (ROS 17/2.8) の培養上清 (htROSCM) を用いて, ラット骨髄細胞からの破骨細胞の分化を著しく促進させることを報告した。そこで, 本研究においては, 同じ骨芽細胞様細胞から無血清の培養上清 (sfhtROSCM) を作製し, 無血清培地を用いてラット骨髄細胞からの破骨細胞の分化誘導を試みた。その結果, 多核の破骨細胞は形成されなかったが, TRAP陽性, 破骨細胞系列に特異的な抗原であるKat 1に陽性の単核細胞, すなわち, 破骨細胞の前駆細胞様細胞 (POC) が形成された。RT-PCR法による解析によりカルシトニンレセプターの発現も検出された。さらに, M-CSFをこの培養系に添加した結果, POC形成を促進することが明らかとなった。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.40.161