ストレッチングが垂直跳びに及ぼす影響

【目的】  ストレッチングは手技によってさまざまな効果があり、目的によってその手技を使い分けることが重要である。本研究では代表的なstatic stretching(以下、SS)とballistic stretching(以下、BS)を選択し、これらが垂直跳びにどのような影響を及ぼすかを検討し、若干の知見を得たので、報告する。 【方法】  対象は九州看護福祉大学の健常者40名(男性20名、女性20名:平均年齢20.7±2.5歳)。使用器具はT.K.K 5414ジャンプDF(竹井機器工業株式会社)を用いて計測。実施手順として大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋に対しSS、BSを行い、...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2011; p. 216
Main Authors 別府, 洸成, 佐藤, 優希, 福田, 大地, 岡, 怜史, 日高, 優人, 梅田, 幸成, 佐藤, 綾香, 二宮, 省悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2011
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2011.0.216.0

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Summary:【目的】  ストレッチングは手技によってさまざまな効果があり、目的によってその手技を使い分けることが重要である。本研究では代表的なstatic stretching(以下、SS)とballistic stretching(以下、BS)を選択し、これらが垂直跳びにどのような影響を及ぼすかを検討し、若干の知見を得たので、報告する。 【方法】  対象は九州看護福祉大学の健常者40名(男性20名、女性20名:平均年齢20.7±2.5歳)。使用器具はT.K.K 5414ジャンプDF(竹井機器工業株式会社)を用いて計測。実施手順として大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋に対しSS、BSを行い、施行前と施行後で垂直跳びを計測した。  垂直跳びの測定手順は、1)マットの中央にある目印に直立姿勢をとる。2)垂直方向へ跳躍。3)マット中央にある目印に再び着地、を行うよう指示した。また、ストレッチングは各筋に対して1日1手技ずつ行い、ストレッチング施行前後の垂直跳びの記録を測定。SS、BSともに1回ずつ計2回の測定をする際に、疲労及び各手技間の影響を考慮し2日間に分けて行った。1回の測定はストレッチング施行前の垂直跳びを連続4回計測。その後十分な休憩時間を挟み、各ストレッチング施行後に再度垂直跳びを連続4回計測。各々の最大値を記録し比較した。 【説明と同意】  対象者には、ヘルシンキ宣言に基づき、研究目的・内容を十分説明し同意を得た。 【結果】  SS、BS施行前後の垂直跳び測定結果を比較した。男性のBSにおいてはストレッチング施行後に有意にパフォーマンスの向上が見られた(p<0.05、ストレッチング前53.8±4.6cm、ストレッチング後56.1±3.8cm)。また、男性SSにおいては、ストレッチング施行前後で有意差は認められなかった。さらに女性はBS、SSともに有意差は認められなかった。 【考察】  今回のストレッチングの設定により、いくつかの点でその効果を把握することができた。男性のBSについては効果が得られたが、女性のBS施行前と施行後の垂直跳びに有意差が認められなかった。理由として、第1に女性の柔軟性が男性より高いため、BSによる神経・筋系の興奮作用の効果が十分得られにくい状態であったことが示唆された。第2に、男女のSSにおいてジャンプパフォーマンスの低下がみられなかった点については、山口らは20秒から30秒のストレッチングが望ましいとしており、またストレッチングの合計時間と筋機能の変化の割合との関係では、両者の間に負の相関関係が確認されると述べており、ストレッチングの合計時間が延長するほど、筋機能の低下が大きくなることを示している。本研究ではSSの施行時間が比較的短かったことでジャンプパフォーマンス低下の影響はみられなかったのではないかと推測する。回数や時間の設定により様々な効果の違いが予想されるため、標本数を増やし、今後もいろいろなストレッチパターンの設定を組み、その効果について分析する必要がある。
Bibliography:216
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2011.0.216.0