自己管理表を用いた糖尿病教育入院後の身体活動量変化

【目的】 糖尿病に対する運動療法の課題は、日常生活の中で運動療法が安全で効果的に実践され、習慣化・継続されることである。継続の有効な手段の一つとして自己把握のできる「記録」が上げられる。当院では糖尿病教育入院中に自己管理表を用いて1日の運動量を毎日記録している。今回、自己管理表の使用が糖尿病患者の身体活動量の維持やHbA1cの改善に有効かどうかについて検討した。 【方法】 対象は2009年8月~2010年3月に2週間の教育入院をした2型糖尿病患者35名(男性10名女性25名)平均年齢66.9歳、平均HbA1c9.1%。除外基準は運動制限が必要な細小血管症合併例と心血管疾患合併例とした。全症例に...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2010; p. 323
Main Authors 池永, 千寿子, 黒山, 荘太, 中村, 宇大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2010
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2010.0.323.0

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Summary:【目的】 糖尿病に対する運動療法の課題は、日常生活の中で運動療法が安全で効果的に実践され、習慣化・継続されることである。継続の有効な手段の一つとして自己把握のできる「記録」が上げられる。当院では糖尿病教育入院中に自己管理表を用いて1日の運動量を毎日記録している。今回、自己管理表の使用が糖尿病患者の身体活動量の維持やHbA1cの改善に有効かどうかについて検討した。 【方法】 対象は2009年8月~2010年3月に2週間の教育入院をした2型糖尿病患者35名(男性10名女性25名)平均年齢66.9歳、平均HbA1c9.1%。除外基準は運動制限が必要な細小血管症合併例と心血管疾患合併例とした。全症例に入院中を通して自己管理表を用いた血糖値・体重・運動量を毎日記録し把握させた。退院時に自己管理表を配布し、退院1ヶ月後(以下1ヵ月後)に提出するように指示し、使用の有無は自己判断とした。自己管理表使用群を実施群(n=24)、運動は実施したが自己管理表は用いなかった群を非実施群(n=11)とした。評価項目はHbA1cと国際標準化身体活動度質問表(以下IPAQ)の short versionを使用し算出した平均的な1日の身体活動における消費エネルギー。さらに各項目の1ヶ月後より入院時を引き、改善値とし算出した。各群の入院時と1ヶ月後を比較と両群間の改善値はt検定を用いて比較検討し、P<0.05を統計学的に有意差ありとした。 【結果】 HbA1cは実施群入院時9.4%→1ヵ月後7.5%(P<0.01)、非実施群入院時8.2%→1ヵ月後6.9%(P<0.01)。IPAQを用いた平均的な1日の身体活動における消費エネルギーは実施群入院時62.4kcal→1ヵ月後221.3kcal(P<0.01)、非実施群入院時105.1kcal→1ヵ月後182.6kcal (P<0.01)。2群間の改善値はHbA1c実施群-1.9%、非実施群-1.3%(P=0.12)、IPAQを用いた平均的な1日の身体活動における消費エネルギーでは実施群+158.8Kcal、非実施群+77.5Kcal(P<0.05)と有意差を認めた。 【結語】 糖尿病教育入院後の食事・運動療法の実施により1ヵ月後のHbA1cと身体活動量は有意に改善した。自己管理表の利用における比較では、実施群の身体活動量が有意に増加した。自己管理表は運動量の把握ができ、退院後の身体活動量増加に有効であると思われた。今後も長期的な検討が必要と考える。
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ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2010.0.323.0