スピネル形成真空実験から探るプレソーラースピネルの起源

始源的コンドライト中からプレソーラースピネル(MgAl_2O_4)とプレソーラーコランダム(Al_2O_3)の両者が発見されている事実は,晩期型巨星周囲のガス中において,コランダムと,ガス中のマグネシウムおよび酸素との反応によるスピネル形成が完了しなかった可能性を示唆する.本研究では, 1420-1650℃においてコランダムとガス中のマグネシウム・酸素との反応によるスピネル形成実験を行い,その反応速度を求めた.実験の結果,過飽和比約10において,スピネル形成表面反応の効率を表す反応係数が約0.002であることがわかった.この結果を星周環境におけるスピネル形成に適用し,晩期型巨星近傍において凝縮...

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Published in日本惑星科学会誌遊星人 Vol. 21; no. 2; pp. 160 - 167
Main Authors 原田, 真理子, 橘, 省吾, 永原, 裕子, 小澤, 一仁, 瀧川, 晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本惑星科学会 2012
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ISSN0918-273X
2423-897X
DOI10.14909/yuseijin.21.2_160

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Summary:始源的コンドライト中からプレソーラースピネル(MgAl_2O_4)とプレソーラーコランダム(Al_2O_3)の両者が発見されている事実は,晩期型巨星周囲のガス中において,コランダムと,ガス中のマグネシウムおよび酸素との反応によるスピネル形成が完了しなかった可能性を示唆する.本研究では, 1420-1650℃においてコランダムとガス中のマグネシウム・酸素との反応によるスピネル形成実験を行い,その反応速度を求めた.実験の結果,過飽和比約10において,スピネル形成表面反応の効率を表す反応係数が約0.002であることがわかった.この結果を星周環境におけるスピネル形成に適用し,晩期型巨星近傍において凝縮したコランダムは,恒星近傍でのガス放出速度が極めて遅い場合(〜0.001km/s)を除き,必ずしもスピネルに変化しないことを示した.コランダム粒子半径(>1μm)が大きい場合にも必ずしもスピネルに変化しない.これは,コンドライト中のプレソーラースピネル,プレソーラーコランダム両者の存在と調和的である.
ISSN:0918-273X
2423-897X
DOI:10.14909/yuseijin.21.2_160