臓器・組織提供のICについて

日本臓器移植ネットワークのデータによると、脳死下臓器提供のきっかけのうち医療者からの情報提供は、法改正前は全体の5.8%であったのに対し、法改正後では62%に上昇しており、医療者が家族の提供意思を確認する事が重要であることは周知の事実である。 当院でも2008年の移植医療支援室設置から2022年5月末までで臓器・組織提供(眼球含む)になった症例89件のうち、医療者から提供意思を確認した症例は62件(69%)であり、前述のデータと同様、医療者の介入が提供に大きく貢献していることが分かる。さらに、提供意思の確認後、家族が詳しい情報提供を希望した場合は、まず院内のドナーコーディネーターが介入し、家族...

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Published in移植 Vol. 57; no. Supplement; p. s165_1
Main Authors 中村, 晴美, 長屋, 文子, 縄田, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
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Summary:日本臓器移植ネットワークのデータによると、脳死下臓器提供のきっかけのうち医療者からの情報提供は、法改正前は全体の5.8%であったのに対し、法改正後では62%に上昇しており、医療者が家族の提供意思を確認する事が重要であることは周知の事実である。 当院でも2008年の移植医療支援室設置から2022年5月末までで臓器・組織提供(眼球含む)になった症例89件のうち、医療者から提供意思を確認した症例は62件(69%)であり、前述のデータと同様、医療者の介入が提供に大きく貢献していることが分かる。さらに、提供意思の確認後、家族が詳しい情報提供を希望した場合は、まず院内のドナーコーディネーターが介入し、家族の意向を聴取してある程度総意を取りまとめた上で、あっせん資格を有するコーディネーターに来院してもらい引き継ぐ体制を整えている。昨今、家族背景が複雑な症例が多く、また、コロナ禍により家族が遠方で面会に来られないなど、総意の取りまとめに苦慮する事例を多く経験した。家族の受容を待ったり家族背景を詳細に聴取したりなどの段階を経て、これまでより時間をかけて総意を取りまとめることが必要になることも多く、コーディネーターの負担や時間的制約の観点からも院内コーディネーターの介入は欠かせないと考える。  また、入院死亡患者全員を対象とした心停止後提供の意思確認も実施しており、臓器・組織にかかわらず患者・家族の「臓器を提供したい」意思を取りこぼさないための取り組みについて報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s165_1