胆道閉鎖症に対する肝移植においてRoux-en Y脚に関連した胆道合併症を認めた2例

はじめに:肝移植後の胆道合併症は高い致死率を伴い、患者のQOLを低下させる。長い冷阻血時間、術後肝動脈塞栓、ABO不適合、肺内シャントが危険因子として報告されている。Roux-en Y脚に関連した胆管合併症2例を報告する。症例1:15歳女児。胆道閉鎖症、日齢26葛西術後。繰り返す胆管炎、肺内シャント(19.82%)を認め、父親をドナーとする生体肝移植を行った。血液型一致、左葉グラフト、GRWR0.74%。胆道再建は既存の後結腸ルートRoux-en Y脚25cmを使用。腹痛と炎症所見が遷延し、20日目に腹痛の増悪、CTでFree airを認め、緊急手術を施行。Roux-en-Y脚は著明に拡張、胆...

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Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s325_1
Main Authors 上林, エレーナ幸江, 門久, 政司, 山本, 美紀, 岡本, 竜弥, 小川, 絵里, 岡島, 英明, 波多野, 悦朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
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Summary:はじめに:肝移植後の胆道合併症は高い致死率を伴い、患者のQOLを低下させる。長い冷阻血時間、術後肝動脈塞栓、ABO不適合、肺内シャントが危険因子として報告されている。Roux-en Y脚に関連した胆管合併症2例を報告する。症例1:15歳女児。胆道閉鎖症、日齢26葛西術後。繰り返す胆管炎、肺内シャント(19.82%)を認め、父親をドナーとする生体肝移植を行った。血液型一致、左葉グラフト、GRWR0.74%。胆道再建は既存の後結腸ルートRoux-en Y脚25cmを使用。腹痛と炎症所見が遷延し、20日目に腹痛の増悪、CTでFree airを認め、緊急手術を施行。Roux-en-Y脚は著明に拡張、胆管空腸縫合不全を認め、縫合不全部閉鎖、胆汁外瘻造設、肝門部ドレナージ術を施行した。移植後8カ月目に胆管空腸再吻合術及び胆汁外瘻閉鎖術を施行。考察1;Roux-en Y脚の通過障害により脚が著明に拡張、脚の圧上昇に起因する縫合不全と思われた。症例2:2歳女児。胆道閉鎖症、日齢113葛西術後。日齢183に肝門部空腸再吻合。黄疸が遷延し、体重増加不良、くる病を認めた。1歳4か月で祖母をドナーとする生体肝移植術を行った。血液型一致、外側区域グラフトでGRWR3.04%、既存のRoux-en Y脚15cmを使用。術後胆管空腸部縫合不全を認め、ドレーン留置。リークは消失したが、吻合部狭窄に対しPTCDを施行。考察2:Roux-en Y脚が短いことにより吻合に過度の緊張がかかり縫合不全をきたしたと思われる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s325_1