倫理的ジレンマ解決への取り組み~哲学カフェを通して

【目的】倫理的問題に組織として介入することに難渋していた中、病棟看護師を対象に対話(通称哲学カフェ)を実施した。その結果普段の業務の中では話せない思いや考えが言葉にでき、今までと異なる視点で患者に関わることができる、など多くの気づきがあった。本研究の目的は、臓器移植に関わる看護師が哲学カフェでの学びをどのように看護実践に活かしているかを明らかにすることである。【方法】A病棟に所属する看護師19名を対象に自記式質問紙調査を実施し、内容分析を行った。【結果】哲学カフェでの気づきとしては、【潜在化していたジレンマの顕在化】【感じたジレンマを自然なこととして受け止める】【多様な価値観があることを認識す...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s291_2
Main Authors 村上, 裕美, 大内, 紗也子, 田村, 恵子, 内藤, 加奈子, 井沢, 知子, 塚本, 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s291_2

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Summary:【目的】倫理的問題に組織として介入することに難渋していた中、病棟看護師を対象に対話(通称哲学カフェ)を実施した。その結果普段の業務の中では話せない思いや考えが言葉にでき、今までと異なる視点で患者に関わることができる、など多くの気づきがあった。本研究の目的は、臓器移植に関わる看護師が哲学カフェでの学びをどのように看護実践に活かしているかを明らかにすることである。【方法】A病棟に所属する看護師19名を対象に自記式質問紙調査を実施し、内容分析を行った。【結果】哲学カフェでの気づきとしては、【潜在化していたジレンマの顕在化】【感じたジレンマを自然なこととして受け止める】【多様な価値観があることを認識する】【多様な価値観があるという視点に切り替えて患者理解を試みる】の4つのカテゴリーが抽出された。また、看護実践に生かした内容としては、【俯瞰的に捉えることで看護師自身の感情を切り離す】【患者の生活背景や習慣から理解していく思考に変換する】【看護師自身の中でジレンマを軽減する対処方法を身につける】の3つのカテゴリーが抽出された。【考察】哲学カフェを通して、倫理的問題を肯定的に捉えられるようになったと推察される。また、倫理的問題を直接的に解決することは難しくとも、看護師自身が倫理的問題への対処方法を身につけることができ、柔軟で多角的な視点を持てる看護師の育成と看護実践につながっていることが示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s291_2