ヒト脂肪由来間葉系幹細胞から肝細胞様細胞の創出-肝不全・代謝性肝疾患に対する肝移植から細胞治療へ

【目的】我々はヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)から機能的細胞を誘導しAMED取得の上新たな細胞移植療法の確立を目指している。今回ADSCからより機能的な肝細胞様細胞(HLC)への分化誘導に成功し、肝不全・代謝性肝疾患モデル動物への効果を検討したため報告する。【方法】検討1; Tokushima protocol; ヒトADSCを用いて3StepでHLCへの誘導を行った。RCP(Fujifilm)による3次元培養、オベチコール酸(OCA)添加によるHLC機能向上の有無を検討した。検討2; 疾患モデルマウスへの移植; ヌードマウスにCCl4で急性肝障害を誘導し、2D/3D HLCを腎被膜下に移...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s309_1
Main Authors 島田, 光生, 陳, 述海, 脇, 悠平, 齋藤, 裕, 山田, 眞一郎, 森根, 裕二, 寺奥, 大貴, 池本, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s309_1

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Summary:【目的】我々はヒト脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)から機能的細胞を誘導しAMED取得の上新たな細胞移植療法の確立を目指している。今回ADSCからより機能的な肝細胞様細胞(HLC)への分化誘導に成功し、肝不全・代謝性肝疾患モデル動物への効果を検討したため報告する。【方法】検討1; Tokushima protocol; ヒトADSCを用いて3StepでHLCへの誘導を行った。RCP(Fujifilm)による3次元培養、オベチコール酸(OCA)添加によるHLC機能向上の有無を検討した。検討2; 疾患モデルマウスへの移植; ヌードマウスにCCl4で急性肝障害を誘導し、2D/3D HLCを腎被膜下に移植した。OTC欠損spf-ashマウスにCyA免疫抑制下に2D HLCを腎被膜下に異種移植した。【結果】検討1; 3D HLCは2D HLCと比較し、各Stepでの特異的遺伝子発現が有意に上昇し、CYP450活性、アンモニア代謝能ともに有意に上昇していた。OCAの追加により、尿素サイクル遺伝子SLC25A1/OTCと尿素産生の上昇を認め、アンモニア代謝能がさらに上昇した。検討2; 急性肝不全モデルにおいて、2D/3D HLC移植群ともに全例生存し、3D HLC移植により肝胆道酵素の改善を認めた。OTC欠損マウスにおいて、ヒトHLC異種移植は、全例生存しグラフトの生着を確認した。また、OTC欠損マウスから単離したADSCはWild typeと比し、形態学的あるいは細胞表面マーカーに差を認めなかった。【結語】Tokushima Protocolで誘導した3D HLCは、アンモニア代謝機能に関してより機能的なHLCであり、肝不全あるいは代謝性肝疾患患者に対する臓器移植に代わり、新たな細胞治療源になり得る。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s309_1